がんの戦友が倒れる前に伝えた言葉 王者があの夜にこだわった理由

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塩谷耕吾
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 2016年4月、長崎市内の飲食店に勤務する村中裕幸さんは健康診断で肺に影があると言われた。

 特に痛みを感じていなかったが、再検査で肺がんと診断された。現実味は湧かないまま、入院。抗がん剤治療が始まった。

 中、高時代は吹奏楽部で打楽器奏者だった。飲食店に勤める傍らでバンドを組んだり、路上で演奏したりしていた。

 病室のベッドでスマホをいじっているときに、プロボクシングの村田諒太選手がSNSでプレゼントキャンペーンをやっているのを見つけ、応募した。

 村田選手のことは以前から応援していた。アマチュア時代、ロンドン五輪で金メダルを取った瞬間も、友人の家のテレビで見ていた。

 「写真のプレゼントが当選しました」

 すぐに朗報が届いた。飛び上がるほどうれしくて、こんなメッセージを返した。

 「がんと診断されました。村田さんとは同じ学年ですごく勇気をもらっています」

 6月に入り、放射線治療も始まった。水を飲み込みづらくなり、痛みもあった。

 そんな頃、自宅にプレゼントが届いた。病室で包みを開いてみた。

 試合の写真と一緒に「がんをKOできるように応援しております」と記された白いグローブも同封されていた。

 2人の交流はそこから始まった。

 村中さんの病気は少しずつ進…

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