「学校に行かなくていい」は救いになり得るか 逃げられない時代に

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聞き手・稲垣直人
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 新学年が始まりましたが、いじめや人間関係などに悩んでいて、学校に行くことが憂鬱(ゆううつ)な人もいるのではないでしょうか。そんな時、「無理して学校に行くな。逃げろ」という助言が聞かれることがあります。この解決策はどこまで有効なのでしょう。特定非営利活動法人のフリースクール「フォロ」副代表理事の山下耕平さんに聞きました。

リレーおぴにおん 「逃げる」

1973年生まれ。「不登校新聞」編集長などを経て現職。関西学院大学非常勤講師なども務める。著書に「迷子の時代を生き抜くために」、共著に「名前のない生きづらさ」。

 ――周りの大人が悩んでいる子に「学校に行かなくていい」と言うのは、どこまで意味があるのでしょうか。

 「たしかに、学校でつらい思いをしている子たちに『死にたいと思うくらいなら逃げろ』といった言葉がかけられることがあります。学校を休んでもいい、ということですね。私もそう言うことがありますし、その言葉が本人にとって救いとなる場合もあります。ただ、渦中の子にとってこれは本当に響く言葉だろうか、とも思うことがあります」

 ――というと?

 「そもそも、実際に学校に行かないということは、当事者にとっては決して容易なことではないからです。社会全体を覆っている価値観が『逃げる』ことを阻んでいるように思います」

 ――社会全体の価値観ですか。

「学校から逃げろ」という言葉が、子どもたちにとってリアリティの乏しい理由とは? 学校や社会、大人の振る舞いの何が問題なのか。フリースクールなどで多くの子どもたちの話に耳を傾けてきた山下さんが語ります。

 「ええ。まず多忙を極めてい…

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    太田泉生
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=人権)
    2022年4月11日16時40分 投稿
    【視点】

    「学校に行かなくていい」なんて言葉が頻繁にメディアに載るようになったのはここ数年のことだ。2015年夏に、9月1日をはじめ長期休暇明けに子どもの自死が多いことが報道されてから、急にメディアにおける不登校をめぐる語りが変化した。驚くほど急激な

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    おおたとしまさ
    (教育ジャーナリスト)
    2022年4月8日17時48分 投稿
    【視点】

    最近聞いた不登校当事者の声に「不登校の体験談として、わかりやすい“成功者”のロールモデルは要らない」というのがあった。「どんな形であれそのひとが安定して生きられていればそれでいいではないか」と。 「いじめ・不登校を巡るメディアの報道も『起