「野球バカは嫌」と言った筒香 横浜の名将が贈った唯一の助言は

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安藤嘉浩
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 ある日、横浜高グラウンドの外からずっと練習を見ている中学生がいた。「それが筒香(つつごう)(嘉智)だった」と元横浜高校野球部監督の渡辺元智さん(77)は振り返る。「いい選手は手を加えない」と語る名将が贈った大胆なアドバイスとは……。

 彼にとっては中学3年の冬だった。父親と中学野球の監督と一緒にうちの練習を見ていた。練習が終わって「見学ですか?」と声をかけると、和歌山から来たという。本人と話をして、自分の考えをしっかり持っている選手だと感じた。背筋をピンと伸ばし、私から目線を外さない。何より、強い意志を感じた。周りの意見でなく、自分で横浜高校に入りたいという熱意を感じた。

 関西の関係者に聞いたら、すごい選手だと言う。ただ、時期的にスポーツ推薦の入試はもう終わっていた。彼は成績も問題ないので、ふつうに受験して入学してきた。

 松坂大輔(41)への憧れがあったと、のちに聞いた。小学生のとき初めて甲子園で高校野球を観戦し、それがPL学園との延長17回だったらしい。うちとしては、ありがたい縁だった。

 人間的にも技術的にも手がかからない生徒だった。自分で目標を定めて、黙って努力する。人の悪口は言わない。いつも自分自身と戦っているような選手だった。

 私は、いい選手は手を加えない。

 声をかけても指導、体に触れても指導、叱咤(しった)激励しても指導。じっと見守るのも指導だ。選手それぞれにアプローチを変えなければいけない。

 筒香は手を抜くタイプではないし、考え方もしっかりしている。1年から4番を打たせた。幸いにも、上級生にプロへ進むような選手がいた。彼らの姿勢や考え方を自分で吸収して筒香は伸びていった。

 しかし、器が大きいからといって、その器で満足して欲しくはなかった。さらなる高みに導くのも、指導者の大切な務めだ。

 筒香には1度だけ思い切ったアドバイスをした。

 左打ちの彼はセンター方向に…

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