石炭やウォッカ輸入禁止・政府系銀行の資産凍結…ロシアへの追加制裁
岸田文雄首相は8日、首相官邸で記者会見し、ウクライナ侵攻をやめないロシアに対し、石炭の輸入禁止や、ロシア最大手の政府系銀行ズベルバンクの資産凍結などの追加制裁措置を表明した。米欧との協調を重視し、対ロ圧力を強める姿勢を鮮明にした。
首相は、ロシア軍による民間人の殺害などを挙げ、「断じて許されない戦争犯罪だ」と非難。石炭輸入を段階的に削減し、最終的に禁止する措置や、ズベルバンクと民間銀行最大のアルファバンクの資産凍結に加え、▽機械類、一部木材、ウォッカなどの輸入禁止措置を来週導入▽ロシアへの新規投資を禁止する措置の導入▽個人などへの資産凍結の拡大――の計五つの柱からなる制裁措置の方針を明らかにした。
日本は発電用の石炭の13%をロシア産に依存している。首相は「早急に代替策を確保し、段階的に輸入を削減することでエネルギー分野でのロシアへの依存度を低減する」と述べた。ただ、最終的な禁輸の時期は明言せず、電力の需給逼迫(ひっぱく)を避けるため、再生可能エネルギーや原子力発電を活用する考えを示した。
資産凍結をめぐっては、400人近くのロシア軍関係者や議員と、国有企業を含む約20の軍事関連団体を新たに対象に加える。これにより、制裁対象は計約550人、計約40団体に広がると説明した。
また、戦争犯罪などの容疑で捜査を始めた国際刑事裁判所(ICC)に対し、分担金の支払いを前倒しで行うなどして捜査を後押しする考えも示した。
さらに、ウクライナ情勢に伴う国内の物価高については、今月中の緊急対策の取りまとめを改めて表明。「非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場だ」と述べ、国民に理解と協力を呼びかけた。(西村圭史)
首相会見の骨子
・ロシアからの石炭の輸入を段階的に禁止
・ロシア最大手の政府系金融機関ズベルバンクの資産凍結
・資産凍結の対象として400人近くの軍関係者や議員などを追加
・機械類、一部木材、ウォッカなどのロシアからの輸入を禁止
・在日ロシア大使館の外交官など計8人の国外退去を求める
・物価高騰に対応する「総合緊急対策」を今月中にとりまとめ
【視点】記事にあるように、日本は発電用の一般炭の10%以上をロシア産に依存している。ちなみに、石炭には製鉄に使われる原料炭というものもあり、その対ロシア依存度は5%ほどのようである。 日本がロシアからの輸入を段階的に止めていくとなれば、オーストラ