村田VSゴロフキンの「20億円マッチ」 その原資は? 成立の背景

塩谷耕吾
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 9日にさいたまスーパーアリーナで行われる世界ミドル級王座統一戦は、「日本ボクシング史上最大の興行」と言われている。

 リングに上がるのは、ともに世界王者。両者は合わせて約20億円の巨額のマネーを手にする。

 関係者によると、世界ボクシング協会(WBA)ミドル級スーパー王者の村田諒太(36)=帝拳=の報酬は約6億円。日本人ボクサーが受け取る1試合の報酬としては、飛び抜けた額だ。

 これまで、日本人ボクサーが最高報酬を受け取ったと言われるのは1994年12月の世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王座統一戦、薬師寺保栄辰吉丈一郎の一戦。辰吉陣営は1億7千万円を受け取ったとされる。

 “モンスター”の異名をとる2団体統一世界バンタム級王者井上尚弥(28)=大橋=はどうか。

 優勝したワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝(19年11月)のノニト・ドネア戦は100万ドル(約1億1千万円)。昨年12月の東京での防衛戦は1億2千万円だった。この試合は番組ごとに視聴料を支払うペイ・パー・ビュー(PPV)方式で放映され、関係者によると「当初、設定した数字は上回った」と数万件規模の契約があったもよう。井上の報酬に上乗せがあったという。

 今回、村田と対戦する国際ボクシング連盟(IBF)同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(40)=カザフスタン=は、もっとすごい。ファイトマネーは十数億円にのぼるという。

 約20億円の報酬の原資は、いったいどこにあるのか。

 この試合はスポーツ動画配信サービスのDAZN(ダゾーン)が海外、アマゾンプライム・ビデオが日本国内、とすみ分けて配信する。世界のスポーツ配信事業で争う両社のタッグは異例だ。

 基本的には、ゴロフキンの報酬の大半は19年に6試合の大型契約を結んだダゾーンが支払う。さらに、アマゾンプライム・ビデオからの配信権で村田の報酬を賄うという構図だ。

 世界のボクシングに詳しいマッチメーカーのジョー小泉氏は「帝拳の本田(明彦)会長のこれまでの実績に裏打ちされた調整力にほかならない。ミスターホンダと言えば、世界の実力者の一人だから」。

 昨年11月の記者発表は海外用(ダゾーン)、国内用(アマプラ)の2部構成で行われた。

 互いのロゴが配信で映り込まないように、8日の前日計量のバックボードや、試合のリングにいたるまで、この興行の最大のスポンサーである両社のロゴは掲示されない。繊細な工夫もなされている。

 異例にして最大。世界のボクシング界で名が通る本田会長の影響力も最大限に発揮して実現したスーパーマッチ。あとは、ゴングを待つだけだ。塩谷耕吾