ロシアに返す美術品、フィンランド税関で一時足止め ゴッホ作品も
大野択生
ウクライナに侵攻するロシアに対する欧州連合(EU)の経済制裁の影響で、日本の美術展で展示した美術品が、所蔵するロシアの美術館に返される途中、フィンランドの税関で一時、足止めされた。情勢の影響が美術館どうしの文化交流にも及んだ形で、展覧会関係者は複雑な心境を語っている。
美術品は、千葉市美術館(千葉市中央区)で3月6日まで展示されていた、プーシキン美術館(モスクワ)所蔵の21点(計8億4千万円相当)。多くはロシアの作家による版画作品だが、フィンセント・ファン・ゴッホの素描やポール・エリューの油絵などもある。
江戸時代の浮世絵をコレクションの柱の一つとしている千葉市美では、日本美術が19世紀の西洋美術に影響を与えた「ジャポニスム」と呼ばれる現象から浮世絵の特徴をとらえ直す企画展「ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵」展を今年1~3月に開いた。西欧以外にもジャポニスムが広がっていたことを示そうと、プーシキン美術館や米国のメトロポリタン美術館などから作品を借りて展示した。
陸路でモスクワめざしたが
企画を担当した田辺昌子副館…
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