慣らし保育で心が折れそうな親へ 専門家に聞く、「どうしてもの時」
4月に保育園に入園した子どもの「慣らし保育」がそろそろ終わるころです。子どもが大泣きしたり、ミルクを思うように飲まなかったりするなかで、後ろ髪をひかれながら仕事に向かっている親もいるのではないでしょうか。
42年間保育士として働き、現在は「非営利団体コドモノミカタ」代表理事の井桁容子さんに、気をつけたほうがよい子どものサインや、親の心構えについて聞きました。
――この時期、どこの保育園でも、親との別れ際に泣いている赤ちゃんを見かけます。
これまでずっと家庭にいた子が、保育園という未知の場所に行き始めたときの環境変化はとても大きいです。泣くということは、環境の違いがしっかりわかっているということです。
大人は、これから起こることを予測して心構えができますが、子どもはそれができないので、突然の環境変化に戸惑うことは当然のことなのです。
しかもこの時期は、同時に何人もの子が入園してきます。赤ちゃんどうし、不安で泣いていることは感じ合っています。だから、余計に増幅されて泣いてしまうということもあります。
大切なことは、親が動揺しないことです。親は「面白そうだよ」「楽しみだね」と声をかけて、なるべく悠々と構えてお子さんの不安をやわらげてあげましょう。
――とはいえ親も育休明けの復職のタイミングで、余裕がない場合が多いと思います。
そうですよね。お母さん、お父さんも緊張していると思います。その緊張が敏感にお子さんにも伝わります。
大事なのは、保護者自身が保育園を信頼することでしょうか。保育園を、家庭ではできない経験ができる、家族とはまた違う関わりをしてもらえる場所だととらえることで、前向きに送り出すことができると思います。
人間の子どもは、親だけで育つようにはできていないと考えられています。いろんな大人と子どもから刺激を受けて、豊かな感情体験をし、得意なことを生かし合って、補い合って育っていきます。
――毎日「ギャーッ」と泣かれ続けて、心が折れそうになる親もいると思います。
内心泣きそうになっているお…