ロシアへの「兵糧攻め」の行く末は 経済制裁の予測不能な返り血

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手・富田洸平 聞き手・岸善樹
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 ウクライナ侵攻を止めないロシアに対し、欧米を中心に各国が金融をはじめとする経済制裁を進めている。グローバル化が進んだ21世紀において「兵糧攻め」はどこまで有効だろうか。

ロシアの現状、かつての日本と重なる 帝京大学教授・筒井清忠さん

 経済制裁は軍事力を用いないという点では、平和的な手段でしょう。しかし、経済的に追い詰めるほど、思わぬ事態を招くことがあるので注意深く行う必要があります。

 念頭にあるのは1941年の日米開戦です。鉄鋼、自動車の生産量など、様々な指標を比べると、日米の国力には圧倒的な差がありました。それにもかかわらず日本は開戦を選択した。その背景に経済制裁があります。

 37年に盧溝橋事件が起き、日中戦争に突入します。日本に対する経済制裁について見ると、翌38年9月に、国際連盟が規約により各国が個別に経済制裁を実行できると確認しています。

 同年11月には近衛文麿首相が「東アジアに新しい秩序をつくる」という声明を出します。中国に関する各国の機会均等などを定めた9カ国条約に違反する行為だとして、米英がこれに強く反発します。そこから両国は日本に制裁を科していきます。39年には日米通商航海条約の破棄を通告しました。

 孤立主義だった米国の経済制裁参加は大きいものでした。40年9月にくず鉄の対日禁輸をします。そして41年には、在米資産の凍結と石油の全面禁輸。日本は石油の約8割を米国からの輸入に頼っていました。米国の石油で日中戦争を戦っていたようなものです。それがなくなる。米国との貿易で得たお金も日本に送れない。大打撃です。さらに、オランダ東インドの石油をめぐる交渉もこの頃に失敗しました。

 ロシアへの経済制裁は、制裁をする側にも「返り血」があります。筒井さんは、国連が制裁を決定できないなか、各国が制裁を徹底できるかが鍵になると言います。記事後半では、現代ロシア企業研究が専門の安達祐子さんが、ロシアには制裁に「耐性」があると指摘します。金融が専門の山岡浩巳さんは「制裁の手段として金融は本来なじまない」と話し、理由を解説します。

 そこで日本は国力差があり…

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2022年4月12日9時2分 投稿
    【視点】

    3人のインタビューすべてに出てくるキーワードが「返り血」です。ロシアに経済制裁を導入した国々も痛手は免れないという現実があります。特に石油、ガス、金属資源、食糧など、ロシアが大きな存在感を示す分野では大きな影響が免れません。 制裁に加わら