ロシア軍に約1カ月にわたって包囲されていたウクライナ北部チェルニヒウに朝日新聞記者が9日、ウクライナ当局の案内で入った。十数階建てのマンションが軒並み崩れかけ、空爆を受けたサッカー場には大穴が開いている。地元当局者は「ロシアは民間施設ばかり狙っていた」と指摘する。
【動画】空爆で破壊されたサッカースタジアム=竹花徹朗撮影
人口約30万人のチェルニヒウ市は12~13世紀の大聖堂や修道院が数多く残る文化都市。ロシアやベラルーシとの国境からは数十キロ足らずで、ロシア軍の侵攻では真っ先に標的となった。
3月初めから4月初めまでの約1カ月間、街は完全に包囲され、連日空爆を受けた。地元当局者によると、犠牲になった民間人は市内だけで200~250人にのぼる。
地元のサッカークラブ「デスナ」が本拠地としている「ユーリ・ガガーリン・スタジアム」も激しい空爆を受けた。デスナによると、スタジアムは80年以上の歴史を持ち、第2次世界大戦でも破壊された経緯がある。今回の侵攻ではスタンドがぐしゃぐしゃに破壊され、フィールドの真ん中には深さ数メートルに及ぶ大穴が開いていた。(チェルニヒウ=国末憲人、竹花徹朗)