第41回血まみれで泣き叫ぶ2歳の息子 車で避難中、数十センチ先に着弾

有料会員記事ウクライナ情勢

リビウ=遠藤雄司
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 ウクライナに侵攻しているロシア軍により、民間人への攻撃が繰り返されている。幼子を抱えて避難する家族であろうと例外ではなく、命の危険にさらされる。ロシア軍による包囲が続く南東部の港湾都市マリウポリから決死の覚悟で脱出したタチアナ・コステンコさん(26)も、その一人だ。

 西部リビウ近郊の病院の静かな一室で8日、タチアナさんはその日のことを静かに語り始めた。右手の親指、人さし指、手のひらを包帯で厚く巻かれ、左肩から手首まではギプスに覆われている。

 タチアナさん一家が避難を決めたのは、3月15日のことだった。もう10日以上、電気も水道もガスも使えない生活が続いていた。

 3月6日には隣のマンションが爆撃されていた。「ほこりっぽい地下シェルターでの生活がつらくて、窓のない奥まった部屋に避難していた。だけど、破壊された隣の建物を見て、ここでは爆撃から身を守れないと分かった」

 それ以来、タチアナさん一家はほとんどの時間を自宅マンションの地下シェルターで過ごすようになった。昼ごろの1時間をのぞき、激しい砲撃は24時間ひっきりなしに続く。家族で車に乗って郊外の湧き水をくみに行った時も、おむつを探しに出かけた時も、水の配給の列にさえも、ロシア軍の爆撃は容赦なく行われた。

 あまりに異常な状況が続き、恐怖の感覚がまひした瞬間もあった。「ある時点で、私たちは爆撃をただ無視するようになった。まるで攻撃されていないみたいに。部屋でアガサ・クリスティの小説を読むこともあった」

 そして15日。ついに自宅マンションに砲弾が直撃した。

 明日逃げよう――。

自宅に迫る攻撃に、タチアナさんたちは避難を決断します。しかし、一家が向かった先には苦難の道が待ち受けていました。

 夫のドミトリさん(31)…

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