「地域の足、運行継続を」山陰の首長ら 赤字路線の安易な廃止反対

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 JR西日本が11日、利用者が少ない「赤字路線」の収支を初めて公開した。存廃も含めた今後のあり方の議論を深める狙いだが、山陰両県の首長らからは不満の声もあがった。

 鳥取県内では山陰線の浜坂(兵庫)―鳥取と、因美線の東津山(岡山)―智頭の2路線が対象となった。JR西によると、100円を稼ぐために必要な費用を示す線区営業係数(2018~20年の平均)は、因美線の同区間が2194円、山陰線の同区間では920円。

 智頭町の金児英夫町長は取材に、「赤字だからやめようというのはどうか。地域住民の足として大切なもの。運行を継続してほしい」と話す一方、「どのくらいの収支率がないとやっていけないかがわからず、コメントしようがない」と不満も漏らした。

 島根県内では、木次線の宍道(松江市)―出雲横田(奥出雲町)が同1482円、出雲横田―備後落合(広島)が8119円、山陰線の出雲市―益田が542円などだった。

 雲南市の石飛厚志市長は「地域と課題を共有し、鉄道の上下分離などを含めた議論や検討をするとの発表なので、今後、危機感をもって注視していく」とコメント。

 丸山達也知事は「特に木次線については、改めて強い危機感を持った」としたうえで、「JR西日本は、多額の国民負担を伴って民営化された企業。一部の線区の輸送密度や営業係数などの採算性によって、安易に地方路線の見直しを行うことは、認めがたい」とコメントした。

 木次線を走る観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」の出発駅の一つ、JR出雲市駅がある出雲観光協会の田辺達也会長(64)は、かつて同駅と大社駅を結んだ大社線の1990年4月の廃線を知る。「木次線を廃止させないため、やるべきことを一つひとつ積み重ねていくしかない。沿線自治体や他の観光協会などとも連携していきたい」と話した。