国にすてられ、母失った五木寛之さん 「棄民」の時代に問う命の重さ

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手・池田伸壹
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五木寛之さん|作家

 戦争の犠牲となり、国を追われて逃げ惑う人たちが連日、報じられている。ロシアをテーマの一つとして書き続けてきた作家の五木寛之さんは、彼らの姿を朝鮮半島で終戦を迎え、38度線を徒歩で越えた自分自身の姿に重ねるという。現代は「棄民」の時代だという五木さんに聞いた。民を、命をすてるとは、なんなのでしょう。

いつき・ひろゆき

1932年生まれ。ルポライター、作詞家、放送作家などを経て「さらばモスクワ愚連隊」で作家デビュー。2022年から芸術院会員。「青春の門」「親鸞」「大河の一滴」「捨てない生きかた」「折れない言葉」など著書多数。

 ――ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが日々報じられています。五木さんは、どのようにご覧になっていますか。

 「ウクライナのことを、世界中が息をのんで見つめていますね。私もやっぱり凝視しています。バルト三国とかウクライナの辺りというのは、世界史におけるある種の発火点として非常に重要な地域です」

 「あの地域はモンゴルに攻め込まれたり、その後もさまざまな大国に支配されたり、分割されたりしてきた歴史があります。オスマン帝国のイスラム文化とキリスト教、キリスト教のなかでもカトリックとギリシャ正教の文化がせめぎ合い、非常に微妙なところです。正教のコサックによる反乱もあり、また長年ユダヤ人も居住してきました」

 「歴史的にずっと争いが起きるたびに難民が生まれ、過酷な歴史が織りなされてきたところです。今まさに、そこでものすごい数の難民が生まれている。その現実を見ていると、世界がまた逆方向に向かっているのを感じますね」

 ――ロシアとの出会いは、12歳の敗戦の時だったと聞きました。

記事後半で五木さんは、フランス語の「デラシネ」という言葉を端緒に「棄民」について、自らの経験と重ねながら語ります。「現代日本における棄民」とは。

 「私にとって、ロシアとの出…

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