政治なんて一生縁がないと思っていたのに、突然の夫の決断でいや応なく選挙や政治の世界に放り込まれる。激戦区で、家族が支えないとどうしようもない。新しく広がる世界や人とのふれあいがある一方で、常に心は揺れ動き、葛藤があります。夫についていく私の人生、これでいいの?と。「妻です」というたすきを掛けていることを、ジェンダーの観点から批判されたこともありました。ドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で立憲民主党・小川淳也衆院議員を必死で助ける妻として登場していた小川明子さんに聞きました。(編集委員・秋山訓子)
突然、夫が「政治の世界に挑戦したい」
夫とは高校の同級生です。1995年、23歳の時に結婚しました。当時私は幼稚園教諭をしていましたが、官僚だった夫は転勤が多く、結婚を機に退職。いつか子育てが終わったら元の仕事に戻りたいとは漠然と思っていました。
夫が突然政治の世界に挑戦したいと言い出したのは2003年です。もうびっくりです。政治なんて、近づかないほうがいい怖い世界だと思っていましたから。
最初はもちろん反対しました。でも夫は「ここで挑戦せんかったら死んでも死に切れん。だからやらせてほしい」。意志は固く、やる前からあきらめるのはやめよう、と。でも何をしたらいいのか、想像もつかない。「私は何をしたらええん?」と聞いたら「何もせんでええ」。そんなわけにはいかないだろうなと思っていましたが……。
記事後半では、夫の小川淳也議員の思いも聞きました。
■初めて駅頭に立った日、トイ…
- 【視点】
少し前までは、「政治家の『妻』」は、夫がいない間も選挙区に住み、日常活動をして…というのが当たり前の姿でした。しかしそこにも少しずつ変化はあって、仕事を持つ人や東京に拠点を置く人が増えています。ですが、それも選挙区事情に左右されてしまうのが