世界は戦争の時代に戻ったのか? 日本が理解するべきリスクと歴史観

有料会員記事ウクライナ情勢

[PR]

 かつて日本は、いまのロシアと同じように他国に侵攻し、破滅への道を歩みました。その歴史を踏まえた時、日本に住む私たちだからこそ考えるべきこと、考え得ることがあるかもしれません。長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)と杉田敦・法政大教授(政治理論)、加藤陽子・東京大教授(日本近現代史)に語り合ってもらいました。2回に分けてお届けします(収録は3月27日)

4月29日午後2時~ 考論オンライン「〈侵略〉と〈戦争〉を考える――歴史・憲法・政治の現在地」

ロシアによるウクライナ侵攻は世界に衝撃を与えました。歴史からくみ取るべき教訓や、独裁と侵略にいかにして抗するかなどについて、長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)、杉田敦・法政大教授(政治理論)と加藤陽子・東京大教授(日本近現代史)が縦横に語り合います。朝日新聞デジタル有料会員限定で視聴できます。申し込みはこちらから。

「我田引水」な日本の議論

 加藤陽子・東京大教授 いま振り返れば、ロシアの大きなターニングポイントだったのではないかと思うのは、2年前の憲法改正です。プーチン氏は最長2036年まで大統領でいられるようになりました。改正の是非を問う国民投票は行われたけれども、最低賃金の保障や医療の充実なども含む200項目以上の改正案全体に対し、賛成か反対かの二者択一を迫るもので、8割近くが賛成したとされています。

 杉田敦・法政大教授 国の体制の根本的なところを変えるためには、解釈の変更を含めて、やはり憲法がカギとなりますね。日本でも、天皇機関説事件などの戦前の憲法学者への弾圧をはじめとして、最近の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認など、強権的な権力者のもとで常に憲法が焦点になってきました。

 加藤 任期延長を本人が言い出したときは、最大限警戒すべきだというのが歴史の教訓です。中国の習近平国家主席も2018年、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正を行いました。今回のウクライナ侵攻を受けて、自民党などからは憲法を改正して緊急事態条項を創設し、国会議員の任期延長を盛り込むべきだとの意見が出ていますが、断じて反対です。

 長谷部恭男・早稲田大教授 わざわざ憲法を改正しなくても、法律レベルでじゅうぶん対応可能です。

 正義を武力で実現することはやめようーー。過ちを繰り返しながら人類がたどり着いた道をロシアが壊してしまったと、長谷部教授は指摘します。「自国の安全のために他国の土地を奪う企ては、滅びの道の始まり」と加藤教授は話します。記事後半では、憲法9条をめぐる改憲論や経済制裁などウクライナ侵攻後に巻き起こる議論を歴史からひもときます。

 杉田 他国の危機から学ぶの…

この記事は有料会員記事です。残り4689文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら