いつでも餅を インスタ、YouTube駆使 餅業界、脱正月の挑戦

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田中瞳子
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 様々な食材と相性がよくて、季節に関係なく味わえる餅。でも、多くの人に食べてもらえるのはお正月だけ……。「餅=正月」という見方を変えてもらおうと、餅業界は新たな挑戦を始めています。取り組み始めたのには、あるきっかけがありました。

生野菜と餅?!

 「餅クルトンの簡単サラダ」「肉巻きスティック餅」「餅のイタリアンラザニア」……。サトウ食品や越後製菓といった包装餅メーカーが所属する「全国餅工業協同組合」(新潟市)が運営する「100%お餅ミュージアム」のインスタグラム(@omochi100.jp)には、料理研究家が考えた餅のアレンジレシピが並ぶ。

 作り方はどれもシンプルだ。「簡単サラダ」は生野菜に餅という見慣れない組み合わせ。でも食べてみると、餅のチーズみたいな食感が野菜にも合う。軽く食べられておなかにもたまるので、食欲がない時や朝ご飯でも活躍しそうだ。アレンジレシピで使うのは、四角い切り餅以外にも、細長い棒状の「スティック餅」、薄くカットされた「スライス餅」、小さく切られた「小粒餅」と、料理に合わせて使い分けている。

コロナで思わぬ追い風も

 同組合がインスタを始めたのは昨年12月。背景には若い世代に餅をもっと食べてもらいたいという思いがある。

 総務省家計調査(2人以上世帯、2021年)によると、餅の消費量は世帯主が70歳以上では約2760グラムなのに対し、29歳以下では約880グラムと3分の1未満にとどまる。「料理の選択肢が豊富な時代になり、若い人に餅を選んでもらいにくいのかもしれない」と組合担当者。

 組合はこれまで、餅のPR活動の一環として中学生のスポーツ大会協賛などに力を入れてきた。参加者に餅を配り、食べ親しんでもらうことが目的だったが、コロナ禍でこうした機会も失われた。

 一方で、コロナ禍が思わぬ追い風にもなった。家計調査によると、一斉休校要請や1度目の緊急事態宣言が出されていた20年4~5月の餅購入額は前年同期の約3割増。サトウ食品(新潟市)はコロナ禍で過去最高売り上げを更新した。在宅時間が増え、食卓のレパートリーを増やすために食べられたとみている。

「餅=雑煮」からの脱却

 業界にとって、餅を通年で食べてもらうことは長年の課題。家計調査によると、餅が買われるのは12月に集中。6~8月の夏場は購入数量が少なく、1カ月あたり、12月の30分の1程度にまで減る。

 サトウ食品は、「『餅=雑煮、鏡餅』というお正月だけのイメージから脱却したい」として、インスタでレシピを紹介したり、人気ユーチューバーとのタイアップに取り組んだりしている。お笑いトリオ「ロバート」の料理家芸人、馬場裕之さんが配信するYouTubeチャンネル(登録者数約70万人)ともタイアップ。「ばばっと作る」簡単餅レシピを発信している。「餅は、カレーに入れても肉やチーズを巻いて食べてもおいしい。もち米と水だけで作られているので、何にでも合わせやすいです」(担当者)

 取り組みはまだ道半ば。同社インスタのフォロワーは約2千人。餅を食卓に定着させるため、1万人を目標にこれからも地道な発信を続けていくという。

■災害時にも活躍…

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