SMBC日興元副社長を起訴 株価操縦事件、一連の対象は10銘柄

金子和史
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 SMBC日興証券による株価操作事件で、東京地検特捜部は13日、元副社長・佐藤俊弘容疑者(59)を金融商品取引法違反(相場操縦)の罪で起訴し、発表した。法人としての同社と、元エクイティ部長・山田誠被告(44)も同罪で追起訴するなどした。

 一連の事件では約1年4カ月間で計10銘柄の株価を違法に操作したとして、SMBC日興と幹部ら計6人が起訴された。捜査はこれで一区切りするとみられる。

 行政処分については、証券取引等監視委員会が改めて検査して、必要があれば処分を出すよう金融庁に求める。処分には業務改善命令や業務停止命令、登録取り消しなどがある。

 今回の特捜部の発表によると、山田被告らは2020年10月~21年4月、東証上場の5銘柄に大量の買い注文を入れるなどして、終値を前日並みに安定させる操作をしたとされる。佐藤容疑者はこのうち1銘柄で共謀したという。

 特捜部は今年3月、他の5銘柄で同様の違法取引をしたとして、元専務執行役員、山田被告ら5人を起訴していた。山田被告は10銘柄すべての違法取引に関わったとされる。

 計10銘柄はすべて、大株主の保有株を市場外で買い取って投資家に転売する「ブロックオファー」取引の対象だった。売買価格は取引日の市場の終値が基準となり、SMBC日興は差益を得る。特捜部は値崩れして大株主が売却を撤回しないよう、終値の下落を避ける買い支えをしたとみている。

 関係者によると、山田被告が所属する運用部門とブロックオファーの窓口となる営業部門は、買い支えを実行する目安となる下落率などを共有していた。佐藤容疑者はこうした買い支えの方針を事前了承したり、山田被告から「私たちが支えなければひどい相場になっていた」と事後報告を受けたりしたという。佐藤容疑者は特捜部の調べに「違法性は認識していなかった」と供述しているとされる。

 また、証券取引等監視委員会から20年10月ごろに取引の不審点について問い合わせを受けた際、山田被告が「マーケットメイク」という証券業界の概念を使って虚偽の説明をした疑いがあることも判明している。

 3月に山田被告の他に起訴されたのは、元エクイティ本部長のヒル・トレボー・アロン(51)▽元副本部長のアヴァキャンツ・アレクサンドル(44)▽同・杉野輝也(57)▽元エクイティ・プロダクト・ソリューション部長の岡崎真一郎(56)の4被告。

 一方、監視委に告発された別の2人は不起訴(起訴猶予)となった。SMBC日興はこの日「内部管理態勢の不備は否定できず、法人としての責任は免れない」とコメントした。(金子和史)