放送映らないドンキの「テレビ」 ネット視聴特化、NHK受信料は?
放送が受信できない「テレビ」が人気を集めている。ディスカウント店「ドン・キホーテ」が昨年末に売り出した、チューナーを搭載しない自社ブランド品だ。計1万2千台が完売間近で、追加生産も検討。ネット経由で番組や動画を見る人が増えた時流に乗った形だが、放送を見る機能がないことで、受信料の扱いでも注目を集めている。
「テレビのようでテレビじゃない!!」「スマホのように対応アプリ楽しみ放題」
4月上旬、都内のドン・キホーテの店舗を訪ねると、24インチの商品がこんなうたい文句で紹介されていた。フルハイビジョン画質の薄い画面で、軽々と持ち運べる重さ。展示品が最後の1台で、42インチは売り切れていた。
この商品は「チューナーレススマートテレビ」と呼ばれる。米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイドTV」を搭載し、リモコンには配信大手「ネットフリックス」や動画投稿サイト「ユーチューブ」などを起動するボタンを備えた。インターネット接続機能を備えた、テレビの形をしたモニターとも言える。
昨年12月に24インチ(税込み定価2万1780円)と42インチ(同3万2780円)の2種類を3千台ずつ発売したところ、1カ月ほどで完売。今年2月中旬に追加生産の各3千台を投入したが、売り切れた店舗が多いという。
テレビ放送を見ないドラマ好きが発案
発案したのは、ドン・キホーテを運営する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」PB企画開発部の柄澤(からさわ)喜行さん(46)だ。放送中のテレビドラマを「ほぼすべて見ている」という愛好家だが、見るのは民放共通の配信プラットフォーム「TVer(ティーバー)」など配信経由がほとんどだった。「配信はいつでも好きなタイミングでスタートできるのが強み」。放送をリアルタイムで見る機会は皆無だった。
しかし大手メーカーのテレビはチューナーとネット接続用OSをともに備えたものばかり。
「ならばチューナーを外して、価格を下げることができればと考えた」。2019年春に社内で商品化を提案し、前例のない商品の開発が決まった。
開発は思わぬ障壁にぶつかりますが、売り出すと歓迎の声が。背景に何があるのかを後半で紹介します。そしてこの「テレビ」は受信料を払う必要があるのか、NHKに見解も聞きました。
だが搭載しようとしたOSの…