新年度が始まって2週間。仕事に慣れない新社会人にとっては、上司や先輩からの指導をゆううつに感じる時期かもしれません。時には、適切な指導とは言えないようなパワハラを受けることもあり得ます。そんなとき、新社会人たちはどんな行動をとればいいのでしょう。パワハラなどを研究する神奈川県立保健福祉大学大学院の津野香奈美准教授に聞きました。
津野香奈美
つの・かなみ。神奈川県立保健福祉大学大学院准教授(社会疫学)。主な研究分野は、職場のいじめやパワハラ、ストレス、リーダーシップなど。東京大学大学院を卒業後、和歌山県立医科大助教、ハーバード公衆衛生大学院客員研究員などを経て現職。パワハラに関する厚生労働省の検討会委員などを歴任し、企業へのパワハラ研修や事例の相談なども多数こなしている。
新入社員の強い不安、当然
――慣れない環境で会社内での振る舞いに悩む新入社員は少なくありません
毎年5月ごろに「新入社員」と検索ワードを入れると、続く検索ワードの候補として「やめたい」「つらい」という言葉が並びます。4月中に退社する新入社員は少数派ですが、5月の大型連休を過ぎたあたりからきついなと思い始めて、6月くらいにやめるパターンは多い。
新入社員は、会社に大きな夢を持って入ってきます。就職活動のために一生懸命に自己分析して、OB・OG訪問をして、業界や企業を研究して、やっと内定を得た。しかし、いざ会社に入ると、あれだけ面接で話した「自分がやりたいこと」ができない。
たとえば、「最低10年はこの仕事をしろ」と言われて、やりたいことをやらせてもらえない現実にいきなり直面します。新入社員が入社までに払った努力を思えば、強い不安に襲われるのは当然です。
心構えで避けられるトラブルも
――ただでさえ不安な上に、パワハラが重なることもあります
入社早々、新人を追い詰めるようなパワハラ研修をしている会社もあります。
たとえば、2013年には、製薬会社に入った22歳の男性が、人格否定をされるような研修を繰り返されたとして、研修期間中の5月に自殺する事案がありました。
表面化していなくても、同様のひどい研修がいまも残っているおそれがある。ここまで悪質でなくても、パワハラに巻き込まれてしまう可能性は誰しもにあります。
――自分の身を守るために、新入社員はどうすればいいでしょうか
大前提として、パワハラは許されない行為であり、パワハラをする側が悪いことは間違いありません。中にはひどい暴言や暴力などもあり、そのような場合は自分で解決しようとせず、相談窓口に相談するなどの手段をとる必要があります。その一方、職場での心構え次第で、避けられるトラブルもあります。
この後の記事で、新入社員が職場のトラブルを避ける心構えや具体的な行動の取り方のほか、上司が攻撃的な心理になる仕組みについて解説が続きます。
特に新入社員に実践してほし…
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