新型コロナウイルス感染症が、各地で再拡大を始めている。特に沖縄や九州、東北で目立つが、いったいなぜなのか。
沖縄「7波に突入」
沖縄県の玉城デニー知事は7日の会見で、「第7波に突入したものと認識せざるを得ない」と発言。感染拡大が続けば、「重点措置の要請を含めた強い措置も検討しなければならない」と危機感をあらわにした。
県では2月20日でまん延防止等重点措置の適用が解除されたが、3月中旬ごろから感染再拡大の傾向が見え始めた。
4月12日の新規感染者数は1509人と、21日連続で前週の同じ曜日を上回った。
直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は596・32人(県集計)と全国最多。2番目に多い東京都の1・5倍となっている。
病床使用率も12日時点で46・1%と、この1カ月で約15ポイント上昇。沖縄本島に限れば53・5%まで上がっている。
入院や自宅療養などをしている療養者数は1万人を超えた。
リエゾン受け入れ、ハード整備進め
感染再拡大を受け、県は内閣官房の幹部ら4人の情報連絡員(リエゾン)を12日から受け入れ、政府との連携を強化する。
また11日には、搬送先が決まらない患者を一時的に受け入れる「入院待機ステーション」(50床)を那覇市内に開設した。
医療機関にはさらに141床の病床確保を求め、県内で最大622床の確保をめざす。
一方で、営業時間の短縮といった飲食店への自粛要請には慎重な構えだ。
12日に感染経路が判明した664人のうち379人が「家庭内」で、「飲食」は11人。県幹部は「飲食が多いという状況ではない」と話す。
福島・郡山「危機的状況」
福島県では13日、新たに693人の感染が発表された。7日に記録した694人に次ぐ過去2番目の多さだ。また、13日まで21日連続で前の週の同じ曜日を上回っており、感染拡大に歯止めが掛からない。
3月下旬から感染が再拡大し、直近7日間平均の感染数は4月12日には580人に達し、1月以降の最多を更新した。
病床使用率こそ30%台で推移し、医療の逼迫(ひっぱく)はまぬがれているが、内堀雅雄知事は8日の県の会議で、「このまま新規陽性者数の増加傾向が続けば、医療提供体制への負荷が増えることが懸念される」と訴えた。
県は、まん延防止等重点措置が解除された3月7日から今月17日までを「重点対策」期間とし、感染対策の徹底を訴える。
ただ、学校や保育所での不織布マスクの正しい着用やこまめな換気、会食は4人以内とすることなど、これまでも実施されてきた対策ばかり。有効な対策が打てていないのも実情だ。
一方で、県は「観光でのクラスターが多く発生しているという全国的なデータはない」(内堀知事)として、3月末からは、宿泊費を1人1泊当たり最大5千円割り引くなどの観光支援事業「県民割」を再開。感染防止なのか、経済優先なのか。県民へのメッセージにはちぐはぐ感も残る。
福島県内でも、特に感染者が多いのが県中央部に位置する郡山市だ。4月に入ると新規感染者が連日120人を超え、5日には過去最多となる242人に達した。13日も190人の新規感染者が判明し、県全体の3割を占めた。
感染高止まりが続く現状について、市保健所は「減少傾向が見られず、危機的状況だ。今後、新規感染者が200人~300人台に達すれば、医療提供体制や保健所業務も逼迫(ひっぱく)しかねない」と警戒する。
市内では連日のようにクラスター(感染者集団)が発生し、保育施設や児童クラブが目立つ。市内の感染者の2割が10歳未満だ。市は12日、これらの施設に対し、新規感染者が3人以上確認されたクラスは5日間閉鎖することを決めた。
また、20~30代の若い世代の感染者も増えている。大学や職場で少人数の歓迎会を開いて感染する例が多いという。市保健所は「たとえ少人数であっても人が集まれば感染リスクが増えることを理解し、マスク着用や大声での会話を控えるなど、基本対策をしっかり取ってほしい」と呼びかけている。
感染の再拡大は沖縄県や福島県だけにとどまらない。九州では宮崎県と鹿児島県、東日本でも長野県と新潟県、秋田県などで3月下旬から感染が再び急増している。
7日間平均の新規感染数は、年明け以降の最多だった1~2月のピークを超えて最多の更新が相次ぐ。
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