ウクライナに侵攻したロシアへの国際的な経済制裁で、対象となった資産家が制裁当日に資産の一部をタックスヘイブン(租税回避地)に移していた。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の調査で明らかになった。プーチン大統領に近い新興財閥「オリガルヒ」の一人で、実態のない会社「ペーパーカンパニー」を多数持っており、資産が凍結されるのを回避する策を講じたとみられる。
この資産家は、アレクセイ・モルダショフ氏(56)。ロシアの鉄鋼大手「セベルスターリ」の大株主で、ロシアで最も資産を持つ人物の一人とされてきた。同社グループは、欧米がロシア政府高官らの「金庫番」とみなすロシア銀行やメディア企業、風力発電関連会社の株主でもある。
こうした状況から欧州連合(EU)は、モルダショフ氏が「ロシアの政策決定者とのつながりから利益を得ている」とし、ロシア軍が侵攻を始めた2月24日の4日後、同氏を資産凍結の追加制裁の対象に加えた。
ICIJなどによると、モルダショフ氏側はこの日、所有していたドイツの旅行大手「TUI」の株34%のうち4・1%を自身が大株主のセベルスターリのグループに移転した。そして、残る29・9%はカリブ海に浮かぶ租税回避地・英領バージン諸島にある法人に移していた。取引は、約14億ドル(約1750億円)に相当するという。
租税回避地に多数のペーパー会社
朝日新聞などが提携するIC…

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