第79回「戦いに加わらなくても、間違っていると言わないと」 中立国の警鐘

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ニューヨーク=藤原学思
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 「私たちは、中立性がなんたるかを知っている。中立とは、価値観の中立を意味しない。また、一方的な、正当化できない国際法違反に直面し、なんらの立場も取らないということでもない」――。「永世中立国」として知られるオーストリアのアレクサンダー・マーシック国連大使が先月28日、ウクライナ危機をめぐる国連総会で、そんなスピーチをしました。

 ウクライナ危機において中立であるということは、何を意味するのか。今月上旬、マーシック氏に詳しく話を聞きました。

Alexander Marschik

 2020年7月から現職。ウィーン大で国際法や国際関係の助教を務め、オーストリア外務省では軍縮・軍備管理・核不拡散の担当部長も歴任した。

――国連総会でのスピーチで、「中立性」に言及されましたね。

 世界を見渡せば、中立的な国家や中立的な政策をとる国家は数多くあります。そしてどの国家も、中立であることの意味を自ら定義する主権的な権利を持っています。

 オーストリアにとっての中立とは、戦争が起きたときに、どちらかの側に立って戦わないということです。オーストリアに軍事基地を設置することは許さない。それが私たちの中立性です。これは私たちの憲法に書かれています。

 ただ、この中立性は、国連憲章第7章に基づく措置(第42条に定められた国際の平和や安全の維持、回復に必要な軍事行動)や、欧州連合(EU)に共通する外交政策に参加できないことを意味するものではありません。また、他国が国際法を順守しているかどうかについて、非常に明確な形で意見を述べることを止めるものでもありません。もし国際法違反があれば、国際法違反があった、と言うでしょう。

――ロシア、ウクライナ両国と等しく距離を取ることと、どう違うのでしょうか。

 自分たちが参加している法体…

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