脱炭素を追い風に強まる原発回帰 避けられぬ「後片付け」の議論

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記者解説 前科学医療部・川村剛志

 「安全性に優れ、経済性も十分という議論をされても、炉だけではなくてバックエンド込みでないと」

 年明け、海外で開発が進む新しいタイプの小型炉(SMR)をめぐり、原子力規制委員会の更田豊志委員長が、大手電力でつくる電気事業連合会の会長も務める池辺和弘・九州電力社長に対し、こう釘を刺した。

 バックエンドとは、原発の使用済み燃料から生じる「核のごみ」と呼ばれる高レベル放射性廃棄物の処分など、原発の「後処理」のことだ。新型炉を導入する議論が先行しがちだが、こうした課題もしっかり考えてほしいというメッセージに、池辺社長は「心したいと思います」と返した。

 脱炭素の流れを追い風に、原発回帰の動きが起きている。

 欧州連合(EU)欧州委員会は2月、原発について、条件付きで地球温暖化対策に役立つエネルギー源と位置づけた。欧州各国でも意見は割れるものの、英仏などは原発の新規建設を推し進める方針を打ち出している。

 米国でも、政府の支援を受けた民間企業が新型炉の研究開発を進める。その一つで、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏が会長を務めるテラパワー社の開発計画に、日本原子力研究開発機構三菱重工業などが協力することが1月に合意された。テラパワー社が手がけるのは、高速の中性子で燃料を効率良く燃やせる高速炉だ。米ワイオミング州で2028年の運転開始をめざす。

高速炉開発は進むのか?

 日本国内の高速炉は、1977年に稼働した実験炉「常陽」(茨城県、停止中)、その次の段階で94年に初臨界に達した原型炉「もんじゅ」福井県廃炉中)がある。テラパワー社が新設するのは、さらに次の段階の実証炉にあたる。原子炉を冷やすのに液体ナトリウムを使うところは、もんじゅなどと同じだ。テラパワー社は原子力機構などが培った技術に着目し、昨春に協力を打診してきたという。

 国内では、事故やトラブルが…

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