対策くぐり抜けたイノシシ、ゴルフ場を休業に「気持ちは分かるが…」
1日に今年の営業を始めたばかりの宮城県栗原市の市営「小田ダム湖畔パークゴルフ場」が、19日から全面休業することになった。原因はイノシシ。エサを求めて場内を動き回ったとみられ、芝の修復や追加の侵入防止策が必要になった。再びゴルフが楽しめるようになるのは1年後という。
サクラが咲きほこるコース脇から、フェアウェーやグリーンに目を落とすと、重機で掘りおこしたかのように芝が荒れた場所があった。雪が解けて水分を多く含んだ芝に、ミミズなどのエサを探したとみられるという。10日時点で被害は65カ所にのぼる。
「イノシシがエサを求める気持ちは分かるが、ゴルフ場が営業できなくなるのはやるせない」
ゴルフ場の管理を担う「協業組合アクアテック栗原」(同市)の鎌田義則さん(57)はがっかりした様子で話した。3月のある日の夕方、ゴルフ場近くの路上でイノシシを目撃。同じ頃から芝のめくれが確認されるようになった。
岩手県境に近い、このゴルフ場が開業したのは2011年。当初からイノシシの侵入はあったが、2年ほど前から被害が顕著になった。鎌田さんは、コロナ禍で休業期間があり、イノシシの警戒心が少なくなったことも一因だとみる。
営業時間外にスピーカーでラジオを流したり、長さ約200メートルの電気柵を設けたりするなど、対策も取った。だが、被害はなくならない。今年は4コースあるうち、被害があった2コースは閉鎖して営業することにしたが、残りの2コースでも被害が確認され、全面休業を決めた。
今後始めるのは、周囲約1キロにわたってイノシシの侵入を防ぐ高さ約1・5メートルのフェンスを設置する工事や、被害が出た芝の修復だ。11月までに終える計画だが、12月から冬季休業に入るため、再開の予定は来年4月になる。
同市の担当者は「費用はかかるが、イノシシを入らせないようにするしかない。利用者の皆さんには大変申し訳ないが、きちんと対策し来春を迎えたい」と話す。
コースが半減し、今年のゴルフ場の利用客は1日20~30人。昨年の同じ時期の4分の1程度に減っている。「来春にお客さんが戻って来てくれるのか。不安だ」。鎌田さんは話した。(三井新)
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