九州から飛び立つ宇宙産業 大分空港は「宇宙港」、福岡は衛星

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加藤裕則
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 大分県国東市大分空港が「宇宙港(スペースポート)」をめざしている。福岡県では小型衛星の打ち上げに関わる産業が集積し始めている。衛星データを利用する動きもあり、九州で宇宙ビジネスが活発化してきた。

 「大分空港はアジア初の『水平型宇宙港』に」

 大分空港には、こんなキャッチフレーズが記されたフラッグがつるされている。乾燥食品など宇宙関連グッズのコーナーがあり、宇宙遊泳のプリントシール機も設置された。大分といえば温泉だが、空港内の足湯は宇宙遊泳をイメージしたデザインだ。大分県などが出資する大分航空ターミナルの担当者は「宇宙港のことはあまり知られていない」とPRに懸命だ。

 宇宙港とは人や人工衛星の出発拠点だ。衛星やロケット関連や観測データの利用など、幅広い産業の立地も期待される。県は地域振興につながるとみて、空港管理者の国土交通省とも協力している。

 きっかけは2019年夏のことだった。米国で人工衛星を打ち上げるヴァージン・オービット社の人たちが大分空港を視察に訪れた。20年春には県とオービット社が大分空港を水平型の宇宙港として活用することで基本合意し、打ち上げをめざしている。

 水平型とは、航空機の下に衛星を積んだロケットを搭載し、高度1万メートル付近で切り離す方法だ。打ち上げ台などの設備は不要で、22年以降の実施をめざす。

 大分空港は3千メートルという長めの滑走路があり、海に突きだしている。周辺は製造業が盛んで、温泉などの保養地が充実していることも評価された。

 県はさらに今年2月、商用宇宙ステーションを開発しようとしている米シエラ・スペース社と、大分空港の拠点化を検討する覚書を結んだ。宇宙ビジネスへの期待は高まる。

 民間の動きもめだつ。21年2月に地元企業などが「おおいたスペースフューチャーセンター(OSFC)」を結成。現在は52の企業・団体が加盟する。新たなビジネスチャンスを探り、地域振興をはかる。

 専務理事の高山久信さん(67)は大分県出身で、かつて三菱電機で宇宙事業を担当してきた。ロケットの担い手は、各国政府から民間ベンチャーへと移っているという。小型衛星を数多く打ち上げ、データを企業が利用する時代に入った。農業や漁業、防災などで有効活用が見込まれている。高山さんは、こうした分野で課題を抱える地方にとってメリットは大きいとし、「九州が宇宙産業で日本をリードする可能性がある」と話す。

九州でつくった衛星を九州で打ち上げ

 「福岡でつくった衛星を大分県や鹿児島県など九州から打ち上げることができるなら、短時間で輸送でき、大変ありがたい」

 大分空港の宇宙港構想に、宇…

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