氷床崩壊→海流停止→森林枯死 気候変動、迫る「ドミノ倒し」の危機

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香取啓介
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 グリーンランドや南極の氷床が解け、大西洋の海流が止まり、アマゾンの森林が枯れる――。地球温暖化が進むと、ある時点で突然このような環境の激変が起こると言われている。

 ティッピングポイント(転換点)と呼ばれ、もはや後戻りできない変化が起きる。しかも、こうした現象がドミノ倒しのように連鎖する恐れがあることが分かってきた。予兆と見られる現象はすでに起きていると指摘される。

 3月半ば、南極東部に張り出した、コンガー棚氷が崩壊した。東京23区の2倍近い面積が、次々と氷山となり、南極の海に散らばった。「棚氷全体がたった2週間で壊れた。かなりの打撃だ」。米メリーランド大の氷河学者クリストファー・シューマン氏は米航空宇宙局のサイトでコメントした。南極付近には暖かい「大気の河」が流れ込んでおり、3月18日には、内陸のコンコルディア基地で、例年より40度近く高い記録的高温が観測された。

 南極大陸の上には、降り積もった雪が重なってできた氷床がある。厚さは平均約2500メートルもあり、氷床が海に張り出したものが棚氷だ。氷床が海に流れ出すのをダムのように食い止めており、「南極の安全バンド」と呼ばれる。

 ただ、海水や波がぶつかることで、浮かんでいる棚氷は底から解け出し、もろくなる。棚氷がなくなれば、多くの氷床が流れ出して氷山になる。世界的な海面上昇につながりかねない。西南極でも棚氷の崩壊が分かっており、世界中の研究者が注目する。この地域全体の氷床が不安定化すれば数百~数千年かけて世界全体で3メートルの海面上昇が起きるという。

 緩やかに見えた温暖化の影響が、ある時点を越えると突然激化し、後戻りできない変化を引き起こす――。ティッピングポイントの考え方は、2001年の国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書ですでに言及されている。

 南極の氷床融解も重要な要素だ。現在の南極の状態をすでにティッピングポイントを越えているとみる研究者もいるが、評価は一致していない。

 南極の氷床を研究する海洋研究開発機構(JAMSTEC)の草原和弥研究員は、「南極の氷山が分離することは、珍しいことではなく、ティッピングポイントかどうかは分からない。ただ、どれぐらいの頻度で起きるかが興味深い」と話す。

 従来、ティッピングポイントに至るのは、温暖化による産業革命前からの気温上昇が5度近くになる場合だと考えられていた。

 しかし、近年、世界中で予兆…

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