第1回「個人的な話をします」弁護士は切り出した 歴史的判決を導いた陳述

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編集委員・豊秀一
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 「裁判所におかれては憲法の理念に立ち返り、性的マイノリティーの、そしてすべての人の尊厳のためにひるむことなく、堂々とした違憲判決を下されることを望むものであります」

 2020年10月28日、札幌地裁805号法廷。原告代理人の弁護士、加藤丈晴(48)はこう訴え、意見陳述を結んだ。

 同性婚を認めていない民法や戸籍法などが、法の下の平等を保障する憲法14条や婚姻の自由を定めた憲法24条に違反すると訴えた訴訟の結審の日だった。

 意見陳述の途中で加藤は、「少し個人的な話をします」と切り出し、自身が同性愛者であることを自覚し、社会から認められない存在ではないかと悩み始めた高校時代の話を始めた。

 当時、同性愛者であることを理由に施設の利用を断られた事件があり、激しい心の痛みを感じたこと。その後、司法試験の受験予備校の教材中に施設の利用を断った東京都の対応を違法とした東京高裁判決を見つけ、勇気をもらったこと。そして、「私がこの判決にどれだけ勇気づけられ、同性愛者として生きていく自信を与えられたか知れません」と語った。

 結審から4カ月半後の21年3月17日、802号法廷で、歴史的な違憲判決が言い渡されることになる。請求棄却の主文言い渡しのあとも判決の読み上げを続ける武部知子裁判長。震える声で「憲法14条1項に違反すると認めるのが相当」と述べると、傍聴席を埋めた支援者たちの目に涙があふれた。

 加藤はなぜあえて、自身の体験を法廷で語ったのか。

5月3日の憲法記念日を前に、憲法を市民の手に取り戻すために活動する人たちを描きます。連載「憲法を手に」、第1回です。

「こちら側」と「あちら側」の認識

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