その転勤、必要? 働く人の納得感は? 武石恵美子さんと考える

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聞き手・石田貴子
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 春は出会いと別れの季節。自分自身やパートナーが転勤になり、様々な思いを抱えて新年度を迎えた人もいるのではないでしょうか。

 法政大学キャリアデザイン学部教授の武石恵美子さんは、企業は人事異動全体のスケール感を見直す時期にきていると言います。転勤のない「地域限定職」についても、考えを聞きました。

 なぜ転勤制度が続いてきたのか。ひとつは、「うちの会社に入ってうちのメンバーとして働いてね。何の仕事をするか、どこで働くかわからないけどいいよね」という「メンバーシップ型」の採用があります。日本では、働く側にとって長期継続雇用が重要なポイントでした。一方、雇う側には勤務地を限定するとその職場がなくなった時に、新たな職場を探さないといけないという事情があります。

転勤してこそ人は育つ?

 もうひとつ、組織側に「転勤してこそ人は育つ」という考えがあり、育成の意味合いを強く感じてきた側面があります。

 しかし、妻が仕事を辞めて夫の転勤についていったのは昔の話。そんなことをしていたら、家計が成り立ちません。子どもがいれば転校を考えなければならないし、夫が単身赴任を選ぶケースもあります。転勤がキャリア形成や人生設計の上で大きな制約になってきました。

 企業も、引っ越し費用や新しい職場での育成など、様々なコストをかけてまで転勤させることに対して、「それほど育成効果があるのか」と疑問を持ち始めました。

 全国に拠点のある金融機関などでは、転勤があることで採用が難しくなっていると聴きます。地方では、地元の公務員や地銀の人気が高く、今のままではいい人材を採用できなくなるという危機感があります。

 働く人たちは「転勤が絶対に嫌」というわけではなく、転勤が無理な時にでも社命に従わなくてはならないのは無理と思っている。そういうことを当たり前のようにしてきた業種や企業は、学生たちから敬遠される状況です。

納得感 高める仕組みを

 転勤を完全になくすのは難しいとしても、頻繁に人を動かさなくても職場はまわる状況にはなっていると思います。人事異動全体のスケール感を見直す必要があります。転勤する人としない人、それぞれの納得感をどう高められるかということではないでしょうか。

後半は、「地域限定職」が男女の職域分離につながりかねない理由について語っていただきます。

 ただし、昇進や役職の上限に…

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