熊本地震「未来に伝える」 学生3人が亡くなった南阿蘇村黒川地区で

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豊島鉄博、長妻昭明、杉浦奈実
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 熊本県南阿蘇村の黒川地区では、熊本地震の本震で東海大農学部の学生3人や住民が命を落とした。6年前に地震が起きた16日午前1時25分に合わせて現役学生らが被災現場をめぐり、暗闇の中、「この日を忘れない」「未来に伝える」と誓った。

 かつて阿蘇キャンパスがあり、学生約800人が暮らし、「学生村」と呼ばれた。農学部の大野睦(りく)さん(当時20)、清田啓介さん(同18)、脇志朋弥(しほみ)さん(同21)が亡くなった。

 この日は、地区住民との交流や語り部をする学内団体「阿蘇の灯(あかり)」の呼びかけで、県内の他の大学の学生や、南阿蘇村に今月開校した専門学校「イデアITカレッジ阿蘇」の学生3人など、昨年より多い17人の学生が集まった。

 「ここで後輩が下敷きになりました」。当時学生だった橋村さくらさん(27)が話した。気温10度を下回る寒空の下、橋村さんは無料通話アプリ「LINE(ライン)」のグループ機能を使い、当時の画像を学生たちに共有しながら大野さんら学生たちが住んでいたアパートの跡地や見つかった場所をめぐった。

 亡くなった3人が住んでいたアパートや、住民の家があった場所は更地になった。画像からはアパートが倒壊し、がれきが散乱している様子がはっきりと伝わる。学生らは熱心に聴き入り、目をつぶって手を合わせ、故人らを追悼した。

 橋村さんはここ数年、16日未明に学生らを連れ、当時の状況を説明している。「いつ何が起きるか分からない。安全な時に前例を学び、命をつなぐことが自分たちにできること。今後生きていくうえで、今から心の備えをして、生き延びてほしい」と訴えた。

 阿蘇の灯代表の綿貫佑奈さん(20)は栃木県出身。小学3年生の時に東日本大震災を経験したが、記憶は薄れているという。「周りに伝えていかないと忘れてしまう。これからも若い人たちに語り継いでいく機会をつくりたい」

 愛知県出身で東海大2年の布施里実さん(19)は、今年初めて参加。「もっと地震のことを勉強して、愛知にいる家族や友人に伝えたい。コロナ禍で人とのつながりが減っているが、災害対策のためにも交流を増やしたい」。イデアITカレッジ阿蘇の林田結杜(ゆいと)さん(18)は「現場で亡くなった方を知る人から話を聞けて、とても勉強になった。来年は後輩もできる。今日学んだものを伝えていきたい」と話した。

 昨年に続いて参加した東海大…

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