第6回「全部がしんどい」は逃げなんだ 鼻血流して気づいたプロボクサー

有料記事

構成・塩谷耕吾
[PR]

 日本一になること2回。アマチュアボクシングのトップ選手だった晝田(ひるた)瑞希(26)は東京オリンピック(五輪)出場をめざしていた。

 しかし代表選考試合に敗れ、夢は絶たれた。

     ◇

 〈代表選考試合で敗れた相手は、東京五輪金メダリストとなる入江聖奈(21)だった〉

 東京五輪を見ることはできませんでした。開会式の後、テレビを一切つけなくなった。

 でも、嫌でも周りから話が入ってくるんです。「入江さん、すごいね」って。みんな、私が(入江)聖奈に負けて五輪に出られなかったことを知らないから。

 金メダルは、聖奈だから取れた。聖奈は本当に強いから。彼女が女子ボクシングを広めてくれた。そこは、感謝の気持ちが強い。

 〈高校時代の最高成績は、全日本ジュニアのフライ級3位。競技者は少なく、1回勝って、次に負けて、それで3位になった。自衛隊に入ってボクシングを続けても、2位が多く、なかなか自信を持てなかった〉

 2018年に全日本選手権フライ級で優勝して「東京五輪をめざしてみよう」と思えるようになりました。翌年はフェザー級で優勝。ただ、2年連続で日本一になったのに、全日本チームの合宿に呼んでもらえなかった。

 理由が分からず、ストレスと不安から摂食障害になってしまいました。

 いわゆる、過食嘔吐(おうと…

この記事は有料記事です。残り2030文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません