避難民、大仙で受け入れへ 支援の寄付募る

佐藤仁彦
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 秋田県大仙市の企業経営者の男性が、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから出国した避難民を、身元引受人となって受け入れるための準備を進めている。避難する人たちの渡航費や生活費を支援しようと、寄付を呼びかけている。

 男性は佐々木正光さん(71)。住宅設備管理などを手がける佐々木興業(大仙市)を営む。

 1990年代、経済交流会議で知り合ったベラルーシ人医師から、旧ソ連チェルノブイリ原発事故で被曝(ひばく)した両国の住民が十分な医療を受けられていないと聞いたことがきっかけで、チェルノブイリを訪問。帰国後、募金活動を始め、医療物資をベラルーシに贈った。秋田大医学部によるベラルーシ人研修医の受け入れにも関わった。

 今回、ロシアのウクライナ侵攻により多くの犠牲者や、国外への避難民が生まれている。「惨状を報道で見てショックを受け、自分に何かできることはないかと考えた」

 避難民の受け入れに向けた調整は大詰めを迎えている。会社の取引先の経営者を通じて紹介された、ポーランド経由で日本に向かうウクライナ人の母と娘の2人をまず受け入れる予定という。

 佐々木興業の社宅用に用意していた大仙市の住宅を、当面の生活拠点として母子に提供する意向だ。ウクライナ語は話せないため、自動翻訳機(ポケトーク)を使って意思疎通を図るという。「大変な思いをして母国から逃れてきており、特に子どもの心の傷が心配だ。まずは安全な場所でゆっくり休み、心を落ち着けてもらいたい」

 佐々木さんのもとには、他にも来日を希望している避難民の情報が寄せられており、こちらも大仙市での受け入れを検討している。

 また、佐々木さんは、運営している同市太田町の温泉保養施設「奥羽山荘」のロビーに募金箱を置き、支援を呼びかけている。商品として陳列している地元のコメやモルドバ産ワインの売り上げの一部を、避難民支援の寄付に充てる。募金は銀行口座への振り込みでも受け付けている。問い合わせは佐々木興業内の一般社団法人・人財バンク(0187・75・2626)へ。

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 日本政府は、紛争によりウクライナから逃れた人々を「避難民」と呼び、自治体や企業による受け入れを支援する方針を決めている。ただ、ウクライナ語の言葉の壁がネックで、県内で受け入れた場合に、支援に関わる行政機関は対応に苦慮している。

 来日を希望した場合は、90日間の短期滞在の在留資格を与えて入国を認める。さらに滞在を望めば、国内で1年間働ける「特定活動」への切り替えを認めるという。身寄りのない人は、本人の希望と、自治体や企業の支援内容をマッチングさせて居住地を決定。日本語教育や就労などの支援を行い、生活費や医療費を支給する。

 また、自治体が一元的相談窓口で避難民専用の相談窓口を設けたり、生活のルールや行政情報をウクライナ語に翻訳したりする経費に、国の交付金の特例措置を講じる。

 一方、佐々木さんからの情報を受け、大仙市と県、県国際交流協会の3者は今月12日、対応を協議した。ただ、人道的な支援をしたいという思いは共通するが、県内にウクライナ語を話せて支援に当たることができる人材は見当たらないという。大仙市教委は「数年前、中国出身の子どもを受け入れた際、中国語のできる日本語指導の支援員をつけた。しかし、ウクライナ語を理解できる支援員を見つけるのは至難の業だ」と話す。佐藤仁彦