また家事しなくなった男たちへ 上野千鶴子さん「もうリバウンド?」
北陸六味 社会学者・上野千鶴子さん
政府もときどきおもしろい調査をする。もう1年前になるが、内閣府が「第2回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の結果を発表した。コロナ禍はテレワークを促進したが、働く人のなかでその実施率は平均21・5%。年収別に見るとみごとに年収水準と相関している。
年収300万円以下では12・7%、これが年収1千万円を超えると51・0%になる。オンラインで置き換えることのできない仕事をやっているひとたちの収入は低く、お金持ちほどオンラインで仕事ができる、という「オンライン階級」の存在がくっきり見える。
そのひとたちが長期にわたっておうちにいると、家庭内の役割分担に再調整が起きる。テレワークを継続している男性の家事・育児時間は10%前後増えている。
そりゃおうちに長時間いるのだもの、妻や子どものやっていることを目の前にすれば、手を出さないわけにいかないだろう。感染症拡大を契機に役割分担が変化し、「現在もその変化が概(おおむ)ね継続している」人が16・3%、いったんは変化したが現在は元に戻っている人が9・4%。
北陸3県の地域面で連載している連載「北陸六味」より掲載。地域にゆかりのある方々の大型エッセーをお伝えしています。
おもしろいのは元に戻った男…