「そんなんやから白血病に」 中1からの劣等感、打ち消した友の言葉

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矢田文
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 大阪市の仲江翔太さん(26)が急性リンパ性白血病と診断されたのは、5歳のときだった。

 薬の副作用で、食べても戻すことの繰り返し。ベッドの周りをビニールカーテンで遮られ、親とも触れあえない。

 そんなつらい抗がん剤治療を経て、10歳で「治癒」した。

 小学生のころは、感染症のリスクとなるけがを避けるため、あまり運動しなかった。

 そのせいか体力がなく、体を動かすのも得意ではなかった。

 それでも、中学に入ると卓球部に入部した。

 新しいことに挑戦することは楽しく、朝昼晩と練習に打ち込んだ。仲の良い部活の友人には、病気のことも打ち明けていた。

 入部からしばらくたった、学校からの帰り道のことだった。

 「卓球上達しないな~。そんなんやから白血病になるねん!」

 何げない会話の流れから、友人が翔太さんをからかった。

 悪気はなく、いわゆる男子中学生の「ノリ」だったのだと思う。

 その場では笑い飛ばした。けれども家に帰っても、その言葉が心に貼り付いた。

 中学という世界では、とくに男子は体力があることや運動ができることに価値が置かれがちだ。

 運動が苦手な自分は、できない人間なのかもしれない。そんな劣等感にさいなまれた。

 「白血病にさえなっていなかったら、今の自分はきっと違ったのに」

 母の則子さん(60)に、行き場のない感情をぶつけたこともあった。

 転機が訪れたのは、高校1年生のときだった。

 3学期が始まった初日。ホームルームで担任の言葉を聞き、体に電流が走ったような衝撃に襲われた。

 「隣のクラスのN君が白血病…

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