3年ぶりのYON FES、帰りのリニモでファンが喜んだ粋な出来事

高絢実
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 名古屋発のロックバンド「04 Limited Sazabys」(通称フォーリミ)が今月2、3日、3年ぶりに地元の愛知でバンド主催の野外フェス「YON FES」を開いた。

 会場は、「モリコロパーク」として親しまれる愛・地球博記念公園(同県長久手市)。緑あふれるロケーションや、都心からのアクセスも良い。学生時代から思い入れのあるこの場所を「もっと特別な場所に」と、2016年から毎年4月にここでフェスを開いてきた。

 一昨年と昨年はコロナ禍で中止に。今年、ようやく開催できた。会場内の至る所に消毒液を設置し、アルコール類の販売も一切なし。人数も、例年の約半分にあたる計約1万2千人に制限した。

フェス終えたGENさんが耳にしたのは

 無事にフェスを終えたベース・ボーカルのGENさんは、多くの来場客が利用したリニモ(東部丘陵線)車内でのある出来事を耳にしたのだという。

 「3年ぶりに参加されたお客様、お疲れ様でした。楽しかったというお客様は拍手をお願いします」

 2日夜、初日の公演が終わり、モリコロパーク最寄りの愛・地球博記念公園駅から藤が丘駅に向かう車内には帰宅の途につく来場客らが乗っていた。まもなく終点に到着するという時、こんなアナウンスが流れた。

 乗客からは力強い拍手が送られ、SNS上では「帰り道まで良い気分」「みんな拍手していて温かい空間だった」など、乗務員の気遣いをよろこぶ声が飛び交った。

 アナウンスをしていたのはリニモ乗務員の伊丹裕則さん(29)。「楽しんでくれるかな、どういう反応をするのかなと考えて、アドリブに近かったです」と言う。自身も音楽好き。何度もライブやフェスに参加した経験がある。

YON FESスタッフの動画がきっかけ

 車内アナウンスは、17年のYON FESで、会場のスタッフが同じように来場客に呼び掛けていた動画を見て、「楽しそう」と思ったことなどがきっかけ。翌18年からYON FESの来場客に向けたアナウンスを始めた。

 3年ぶりとなるYON FES。リニモに乗務した2日夜、「楽しかったですか?」「冷え込むので体をあたたかくしてお気を付けてお帰りください」などと語りかけた。

 地元愛知で開催されるYON FESについて「沿線でイベントを開催してくれることはすごくうれしい」と伊丹さん。車内アナウンスという形でフェスに関われたことにもうれしさがあるという。ただ、毎年YON FESの2日間は業務が忙しい。「いつか行けたらいいな」と笑う。

 GENさんは「粋なことを言ってくれていると聞いた時に、(フェスが)みんなのモノになっているのかなと感じました。ちょっとずつ根づいて、地域の人にとっても愛してもらえるモノになれてきたのかな」と話す。

 いまは東京に住むメンバーにとって「YON FESは1年間の活動を持ち帰る実家のような存在」。

 来年以降もこの特別な場所でフェスを続けていきたいと思っているという。「あの場所にこだわりがあります。やりようによってはやれる、という手応えを感じたので、来年以降もやっぱりあの場所でやりたいし、良さを再確認しました」(高絢実)

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