「さつま絣」6人目の伝統工芸士を認定 織る技術の継承に課題

中島健
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 宮崎県の伝統的工芸品「さつま絣(がすり)」の伝統工芸士に3月、都城市の津乗(つのり)智子さん(74)が県から認定された。6人目の認定となるが、このうち現役の織り師は約35年働く津乗さんだけ。後継者の育成が課題となっている。

 さつま絣は、都城市が鹿児島県奄美大島鹿児島市とともに生産地と国から認定されている伝統的工芸品「本場大島紬(つむぎ)」と同じ技術を使い、絹糸ではなく木綿の糸で織り上げるのが特徴だ。細い綿糸は乾燥すると切れやすく、さつま絣を生産しているのはいまや、都城市の東郷織物だけになった。

 絣を織るまでには、糸の元をつくる「締め」や染色など約30の工程があり、東郷織物はほとんどを一貫して手作業でおこなう。織るのは最後の工程だが、谷口啓子取締役は「一番難しい」。宮崎市出身の津乗さんは結婚を機に都城市に移り住み、「ママ友」の誘いでこの道に足を踏み入れた。

 4月上旬の都城市鷹尾4丁目の工房。津乗さんは縦糸に横糸を打ち込み、ずれを針を使ってそろえていた。「気候や体調、湿度などで毎回糸の状態が違う。昨日できたことがきょうできないのが普通。毎日が修業です」

 1日に織り進むのは良くて30センチ程度といい、13メートルを超す一反の生地ができるには早くても約2カ月かかる。同社には約40人の織り師が所属しているが、反物を織り上げないと収入にならない。「1年かけて一反を織った人がやめてしまった」(津乗さん)というように、若者の育成が喫緊の課題という。

 津乗さんは「締めや染めなどの準備のおかげで認定がもらえた。技術を残すために新しい人に関心を持ってもらえたら」と話している。(中島健)