「漫画のコマは、窓みたい」 短編賞のオカヤイヅミさん受賞のことば

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 第26回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の短編賞に選ばれた「いいとしを」と「白木蓮(はくもくれん)はきれいに散らない」の作者オカヤイヅミさん(43)が受賞のことばを寄せた。内容は次の通り。

オカヤイヅミさん受賞のことば

 漫画のコマは、窓みたいです。自分では思いつきもしなかった誰かの空想の景色も、自分と近しいような人が見ている生活のシーンも、枠線で切りとって見せてくれます。私は子供の頃からよそ見が多く、物事の中心ではない、例えばテレビに映る野球場の試合ではなく広告や観客のほうが気になるタイプでしたが、漫画という文化の中にはあらゆる窓があり、どんなによそ見をしても、視線の先には覗(のぞ)き込める窓がありました。

 私が窓に映したいのは強い思いや出来事の間にあるような、じっと見つめると照れて隠れてしまうような人や風景です。生まれて初めて賞というものをいただいて、その窓を見つけていただいたことに驚き、大変感謝しています。

「いいとしを」あらすじ

 バツイチ42歳の灰田俊夫は母の他界で72歳の父と同居開始。母の遺(のこ)した500万円を見付けるが。加齢とコロナと五輪、父と息子の日常。

「白木蓮はきれいに散らない」あらすじ

 高校の同級生が孤独死したのを機に久々に再会した仲良し3人組。しんどい現実を生きる彼女たちになぜかアパートが託されて……。

オカヤイヅミさん略歴

 おかや・いづみ 1978年東京都生まれ。2011年『いろちがい』でデビュー。著書に、受賞作のほか『すきまめし』『続・すきまめし』『いのまま』『ものするひと』『みつば通り商店街にて』『おあとがよろしいようで』、加藤千恵との共著『ごはんの時間割』などがある。