第5回世紀の落球、学校で笑い話に おすすめ動画に残る「この子」の後日談

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構成・内田快
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 世紀の落球。

 高校野球ファンの間で、そう呼ばれるプレーがある。

 エラーしたのは、本田紘章さん(29)。

 2010年の全国高校野球選手権大会に、開星(島根)のセンターとして出場した。

     ◇

 〈甲子園大会の1回戦、仙台育英(宮城)戦だった。九回表の守り、1点リードで2死満塁。浅いフライが本田さんの目の前に上がった。落下点に入る。投手は勝利を確信し、ガッツポーズ。しかし白球はグラブからこぼれ、足元で弾んだ。逆転負け。ありえないミスだった〉

 野球人生で、ああいうミスはゼロ。あの時を除いて、一度もやったことはありません。

 最近、「TikTok(ティックトック、動画投稿アプリ)」で高校野球の動画を見ていると、おすすめ動画で、このシーンが流れてくることがあります。

 どんなコメントがついているんだろうと、コメント欄を、つい見てしまう。試合の感想だったり、「この子、今はどうなっているんだろう」という言葉だったり。

 高校野球が好きな方には覚えてもらえているんだな、記憶に残る試合になっているんだな、と感じます。

 あのフライは、普通、落とすようなものじゃありません。

 もちろん、あの時も捕れるものだと思っていましたし、甲子園にいた人の99%は、試合が終わったと思ったはずです。

 フライが上がった時、僕の頭…

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2022年5月2日15時20分 投稿
    【視点】

    50歳のわたしにとって「世紀の落球」といえば、1984年の選抜高校野球準決勝、PL学園―都城です。 延長11回裏、PL桑田選手の何でもないライトフライを都城の隈崎右翼手が落球し、サヨナラ負け。 泣きじゃくる隈崎選手をテレビで見て、胸がし