完結「チ。」魚豊さんが語る 地動説の物語で描いた知性と暴力の差

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聞き手・黒田健朗
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「チ。―地球の運動について―」作者魚豊さんインタビュー<前編>

 中世ヨーロッパを舞台に、異端とされた地動説の研究に命がけで挑む人びとをフィクションで描いた魚豊(うおと)さん(24)の漫画「チ。―地球の運動について―」が第26回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)のマンガ大賞を受賞した。24歳でのマンガ大賞受賞は、手塚治虫文化賞史上最年少だ。「チ。」は今月18日に雑誌連載が終わり、完結したばかり。インタビュー前編では、「知性と暴力」を描く物語はどうやって生まれたのかや、最終話までの展開の意図、終盤の印象的なあのセリフなどについてたっぷりと語ってもらった。(物語の展開に触れる部分があります。ネタバレ注意です)

 ――7人の社外選考委員、満場一致でした。受賞をどう受け止められましたか。

 身に余る光栄です。驚きで今は現実感があまりないです。

 ――手塚治虫さんの名を冠した賞です。手塚作品の印象は?

 漫画を描いていて、その名前がついた賞を頂けるというのが、何よりうれしい。引き締まる思いです。

 僕が小学校の時にアニメの「ブラック・ジャック」が放送されていましたが、手塚治虫作品は身近にあるコンテンツとしての漫画、というより、「教養としての文学作品」の1個というか、そういう歴史的な物という意識でした。

 戦中派ということもあるでしょうが、社会性があって威厳がある一方で、でもそれが古臭いわけじゃない。

 今でも手塚先生のインタビューを見ると、それがとんでもなく面白く、普遍的な見立てがあって、アクチュアルで、示唆に富んでいる。そういった所から、手塚先生には今で言う“漫画家”というより、“作家”という印象を受けます。

記事後半では、アドルフ・アイヒマンをモチーフにしたという異端審問官ノヴァクのキャラクター造形や、最終話までの展開の狙い、「あれが言いたかったから描いた」というあるセリフなどについても語ります。

 ――「チ。」執筆のきっかけは。

 「知性と暴力」に関心があり…

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