日本政府がウクライナへの支援策として、国連の物資をウクライナ周辺国に自衛隊機で輸送するとしていた計画について、物資の備蓄倉庫があるインドが拒否したことが21日明らかになった。複数の政府関係者によると、インド政府が自衛隊機の使用を認めなかったという。日本政府は民間機の利用も含めて計画の修正を余儀なくされた。日本は来月、「日米豪印(クアッド)」首脳会合を東京で開く予定だが、インドとの温度差が露呈した形だ。
日本政府は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの要請を受け、国連平和維持活動(PKO)協力法が定める「人道的な国際救援活動」として自衛隊機を派遣する方針だった。UNHCRの備蓄倉庫があるインド・ムンバイやアラブ首長国連邦・ドバイから、ウクライナ避難者を受け入れているポーランドやルーマニアに支援物資を運ぶ計画で、4月下旬~6月末に週1便、10回程度を想定していた。
政府関係者によると、日本とインド両政府の事務レベルでは調整がついたが、インド側が20日夜になって自衛隊機の使用に反対する意向を伝えてきたという。日本政府は実施計画を近く閣議決定する予定だったが、自衛隊機派遣の先送りを決定。インドからの物資輸送について、民間機使用に切り替えることも含めて検討する。