神戸からブラジルへ、移民の歩み伝える花「イペ」 元町で見頃迎える

大下美倫
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 【兵庫】神戸市中央区の鯉川筋からJR元町駅を通り、メリケンパークをつなぐ道に並ぶ「イペ」の木に黄色い花がつき、見ごろを迎えている。ブラジルの国花である花には、かつて神戸から同国へ移住した日本人の歴史を伝えたいとの願いが込められている。

 イペはノウゼンカズラ科の木で、毎年4月ごろにラッパ状の花を咲かせる。「海外移住と文化の交流センター」(中央区山本通3丁目)からJR元町駅や大丸神戸を通り、メリケンパークまでをつなぐ約2キロの道とその周辺に約45本が植えられている。

 イペが植えられている場所をたどると、かつて神戸からブラジルへ移住した人々が通った道と重なる。

 日本とブラジルの友好団体「日伯協会」の細江清司理事(79)によると、1908年から94年までの間、各地から集まった約25万人の移住者を神戸からブラジルに送り出してきた。その多くが労働力不足だったコーヒー農園で働いた。

 渡航の準備をするための施設として、現在のセンターがある場所には28年、国立移民収容所が作られた。71年に閉鎖されるまで、移住者がビザの手続きをしたりポルトガル語を学んだりするのに使われた。

 ほとんどの移住者は神戸港から船でブラジルに渡った。その際に施設を出発し、港まで向かうのに通ったのが、現在イペの木が植えられている通りだったという。

 こうした移住者の歴史を伝える取り組みの一つとして2001年、神戸市がセンターの敷地に3本のイペの木を植樹した。細江さんは「ブラジルではあちこちにイペが植えられています」と説明する。

 「冬の寒さがあるなど環境が違うので、イペが耐えられるのかテストしながらだった」と細江さん。植えた木は鮮やかな花をつけた。そこで苗木を育て、移住者が通った場所に木を植えていくことにした。

 細江さんは「買い物に行くと鶏肉やオレンジ、コーヒー豆などブラジルのものが大量に日本に入っている。その背景に移住者が両国をつなげたことがあります」と話す。

 イペの花は4月末ごろまでが見ごろ。その後は花が落ち、葉が生えてくるという。(大下美倫)