遭難、地図アプリで救助迅速に 県警が登山ルート照会で協定

村上潤治
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 登山の遭難件数が長野、北海道に次いで全国で3番目に多い神奈川県内で、遭難時の救助を迅速にできるように県警は19日、登山者向けのスマートフォン地図アプリ「YAMAP(ヤマップ)」の運営会社と協定を結んだ。アプリの「登山届」に県警がアクセスできるようになり、登山ルートや装備などを確認できる。

 ヤマップ(福岡市)が運営するYAMAPは2013年にサービスを始め、2万1千超の山の地図を提供している。ダウンロードした地図上に青い点で現在地を示し、通信電波が届かない山中でもGPSで現在地を把握できるほか、登山ルートや食糧なども記録できる。

 今回結んだ「登山届情報システムの活用に関する協定」で、県警はYAMAPの情報にアクセス権限が与えられ、救助に必要な登山ルートの情報をいち早く照会、把握できる。登山者も登山届と同様の効果が得られるという。

 登山届は、登山者が事前にコースや緊急連絡先などを書いて警察署に提出したり、バス停などにある登山ポストに投函(とうかん)したりする。長野や岐阜など「山岳県」では安全対策のため条例で提出を義務づけているが、神奈川県は条例はない。

 県警によると、県内の山岳遭難は多く、20年は過去最多の144件176人で、長野(183件198人)▽北海道(176件209人)に続いた。21年は135件153人で6人が亡くなり、うち3人が滑落・転落死だった。高齢者が全体の約4割を占め、遭難の原因は「道迷い」が約4割で「転倒」が約2割だった。

 首都圏から近く、気軽に軽装で訪れる登山者も少なくないことも背景にある。遭難者のうち、登山届を出していたのは23件25人で、提出率の低さが課題だった。21年に県警に提出された登山届は約3万900件で、YAMAPは2万4200件だった。

 同社が21年、利用者情報からまとめた「日本一道迷いしやすい登山道」では、全5座のうち、県内の大界木山(1246メートル、山北町山梨県境)と櫟山(くぬぎやま)(810メートル、秦野市など)が入った。登山道が整備された日本アルプスなどと違って道の数やいりくむ場所などが多いためとみられる。

 協定後、同社広報の上間秀美さんは「ITの力で登山を安全なものにしたい」。河辺裕司・県警地域部長は「アプリの適用で迅速、的確な救助につなげたい」と話した。(村上潤治)