災害時の意思疎通に役立てて 障害者向けの手ぬぐい作成
災害時に障害者が意思表示をしたり、支援者とコミュニケーションを取ったりするのに役立つ手ぬぐいを、福岡県大牟田市の団体が作成した。2020年夏に市内を襲った大雨災害時の困り事などを当事者から聞き取り、障害に応じた6種類を用意。体調の悪さや空腹といった訴えたい内容のイラスト、五十音の文字などが印刷されている。
名付けて「おたすけ手ぬぐい」。「体調が悪いです」「トイレはどこですか」などのイラストや五十音の文字を指させば、意思が伝えられる仕組みだ。
作ったのは、市障害者協議会と市ボランティア連絡協議会で立ち上げた「防災バリアフリープロジェクト」(会長=杉野有美子・同連絡協議会長)。市内の避難所で障害者がうまく助けを求められず、行政や地域も対応にとまどうことがあった経験がきっかけになった。
東日本大震災の被災地で販売されていた、緊急時の必需品を印刷した手ぬぐいをヒントに、聞き取り調査や会議も重ね、昨春から1年がかりで作り上げたという。
視覚、聴覚、身体、知的、発達、精神の障害ごとに計6種類があり、視覚障害向けには「白杖(はくじょう)を頭上にあげている時は、お手伝いが必要なサイン」、聴覚障害向けには「ジェスチャーや文字や図などで伝えて」など障害ごとの特徴や対応上の注意点も明記した。
制作費は地域活動を支援する県の助成金(百万円)でまかなった。
サイズは縦35センチ、横90センチで、6種類1セットで計320セットを作成。プロジェクトのメンバーらは3月23日、市内の避難所向けに70セットを市に寄贈し、関好孝市長から感謝状を贈られた。
杉野会長は「困り事は人によって様々で、その人から直接聞くことが大切。手ぬぐいがその助けになればうれしい」。市内の障害者や関連施設にも無料で配布中。問い合わせは市障害者協議会(0944・57・7161)へ。(外尾誠)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。