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第4回確執があった息子に抱えられた最後の夜 きっと夫は一番幸せだった

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木元健二
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 「すまなかった、許してくれ」

 がん末期。60代の男性が、紙片にミミズがはうような字でようやく記した。

 「今さら遅いよ」

 渡された息子ふたりは、そう言い放った。 山陰・鳥取で、ホスピスケアに取り組む野の花診療所。院長の徳永進(74)が開き、20年。2、3日に一度、他界する患者と家族を支えてきた。なかでも忘れられない父子の姿だ。

20年前からホスピスケアを続ける「野の花診療所」。死を目前にした患者と歩んだ日々を5回連載で振り返ります。

「息子に謝りたい」 死を悟った父

 かつて男性は妻と別れて親権を得て、男性の実母が息子ふたりを育てた。ふたりはずっと、「お母さん」が恋しかった。

 息子らは長じて、病院の救急室で冷たくなった母の姿に立ち会う。心筋梗塞(こうそく)だった。父が母を追い詰めた。そう感じたふたりは以降、父との連絡を絶った。

 病を得た父は、残りの日々が長くない、と悟った。「息子に謝りたい」と診療所で明かした。

 息子たちは、遠く離れた土地…

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