第2回分数割り算でつまずいた私 大人になってわかった「今じゃなくても」

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聞き手・小瀬康太郎
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 多様性が豊かさとなる未来へ――。

 その教室では、そんなコンセプトを掲げ、海外にルーツを持つ子たちが日々、学んでいる。親の都合で初めて日本に来た子、日本の中学を進路未決定のまま卒業した子など、背景は様々だ。

 田中宝紀(いき)さん(43)は東京都福生市で2010年、この教育支援事業「YSCグローバル・スクール」を立ち上げた。自身は小中学生のときに勉強がほとんどできず、人間関係がきっかけで高校も中退。その後、フィリピンでの経験から、24歳で大学に入った経験を持つ。「そんな経験があるからこそ、子どもたちの苦しみをおもんぱかることもできる」と語る。

 「今じゃなくても、ここじゃなくてもいい。学びをシャットダウンしないで」。

 回り道をした田中さんが語る「学び」の意義とは。

「日本の学校をやめるくらいなら」

 ――田中さんは今、スクールの責任者として、現場で見えた情報の発信や資金調達などの活動をしていらっしゃいますね。ご自身は学生時代、学ぶのが好きでしたか。

 小中学校では国語と図工しかできなくて、あとはほぼ赤点レベルでした。算数は分数の割り算でつまずきました。

 「なぜ?」という疑問が多い子どもで、例えば、分母と分子をひっくり返す理由を先生に聞いても「そういうものだから」と言われ、全く納得できなかった。公式にただ当てはめることに、すごく抵抗がありました。

 それに学校に居場所がないように感じていました。小学4年くらいからずっといじめを受けていたんです。見た目のことを言われたり、無視されたり。スクールカーストでいうと一番下。自由に班を決めるときは、必ずあぶれました。

 ――高校ではどうでしたか。

 高校に入ってからもずっと学…

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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2022年4月30日16時8分 投稿
    【解説】

    田中宝紀氏の生き方は、学ぶとはどういうことなのかという問いを私たちに突きつけてきます。 試験の点数を高めることも単位の取得に躍起になることも、ともに学びの本質ではありません。効率よく合理的に受験をくぐり抜け、卒業要件を満たすことは、本

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    田中宝紀
    (NPO法人青少年自立援助センター)
    2022年4月27日20時38分 投稿
    【視点】

    「学ぶ」という観点から自分の人生を振り返る、貴重な機会をいただきました。宮坂さんのコメントにもある通り、私が辿ってきた道は誰もが選べる選択肢ではありませんし、私自身も自分の子どもにですら勧めることをためらうような曲がりくねった道でもありまし