仙台市、罹災証明発行に遅れ 自己判定導入せず

根津弥
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 3月に発生した福島県沖地震で、仙台市の罹災(りさい)証明書の交付手続きが遅れている。宮城県の22日午前10時現在のまとめによると、全体の交付率55・2%に対し仙台市は23・2%。交付した市町村でもっとも低い。現地調査を省略して写真で被害を認定する「自己判定方式」を活用しなかったことが遅れを招いている。

 罹災証明書は住宅被害に対する公的支援などを受けるために必要な書類。市町村が被害を一部損壊~全壊の6段階で認定する。

 内閣府は2018年から、一部損壊なら被災者が撮った写真で判定できる自己判定方式の活用を推奨している。16年の熊本地震で調査が長期化した反省などを踏まえ指針を改定した。

 県によると、仙台市に対する証明書の申請件数は県内最多の1万613件。だが、交付済みは2457件にとどまる。

 市資産税企画課によると、一部損壊では公的支援が受けられないため、被害が軽微な被災者だけが使える自己判定方式の需要は少ないと考えたという。実際には、交付済みの証明書の97%が一部損壊だった。会社の見舞金を得るため、一部損壊でも証明書が必要な事例などがあったという。

 4月上旬には納税通知書の発送事務に職員の手が取られ、調査が思うように進まなかった。罹災証明書の発行完了は6月中旬を見込む。同課の岡崎勝紀課長は「今後は自己判定方式を取り入れる必要があると感じている。次の災害では導入を考えたい」とする。

 県によると、被害が大きかった他の県内自治体では多くが自己判定方式を活用している。仙台市に次ぐ1846件の申請があった角田市もその一つ。交付率はすでに98・3%に達した。同市税務課によると、申請は5月16日まで受け付け、同月内には発行を終える見通しだという。

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 宮城県は22日、3月の福島県沖地震で住宅が大きな被害を受けた角田市、白石市蔵王町、亘理町に同日付で被災者生活再建支援法が適用されたと発表した。県内の適用自治体は山元町も加えて5市町となった。住宅の再建費用などとして全壊で最大300万円、大規模半壊で250万円、中規模半壊で100万円が支給される。

 県の22日時点のまとめによると、住宅被害は計1万2131棟。内訳は全壊34棟、半壊434棟、半壊に至らない一部破損が1万1663棟。自治体別では仙台市1886棟、角田市1815棟、白石市1049棟、山元町909棟などとなっている。各自治体は今も調査を続けており、被害は更に膨らむ見通しだ。(根津弥)