北杜の高齢化集落の火災、がれき撤去めどたたず

米沢信義、池田拓哉
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 住宅など38棟が焼損し、1人が死亡した山梨県北杜市須玉町小尾の集落火災から1カ月以上が過ぎた。大きな被害が出た現場では、いまだにがれきの撤去が進んでいない。高齢化が進み、撤去に必要な人手や資金が不足しており、集落の人たちは行政に支援を求めている。

 北杜市役所から20キロほど離れた山間地にある「和田班」と呼ばれる集落の一角から火の手があがったのは3月12日の昼過ぎ。住宅10棟が全焼し、半焼や部分焼が2棟。住民の男性1人が死亡した。このほか、納屋や倉庫など26棟が焼けた。出火原因について県警は「捜査中」としている。

 今月中旬、現場を訪ねた。焼け焦げた車やトタンなどのがれきが一面に散乱していた。風向きによっては、焦げたような臭いも漂ってきた。

 「そもそも大半が空き家だったので片付ける人が少ない。家を失った人も高齢者施設に入ったりして撤去は難しい」。住民の女性は話した。

 市によると55年前の1967年4月、和田班には222人の住民がいた。その後、高齢化と過疎化が進み1988年には地元の小学校が閉校。今年4月1日現在の住民は32人で、このうち22人が65歳以上だ。

 班の70代の男性によると、以前は「結(ゆい)」と呼ばれる互助組織があったという。「子どもの頃は屋根のふき替えや農作業などを共同で行っていた。近所で支え合っていた伝統は今はない。そもそも高齢者に力仕事は無理で、業者に頼むにも費用が高額になる」

 住民らは14日、市にがれき撤去への支援などを求める要望書を提出したが、市は対応に苦慮している。担当者は「自然災害の場合は支援の対象となるが、出火原因が失火ならば、市ががれきを撤去することには議論がある」と話す。加えて、第三者が空き家のがれきを撤去する場合、地権者の同意を得るなどの手続きも必要で介入が難しいという。

 班の役員は「ある程度自力でやるしかないが、これから農作業の繁忙期に入り人手を集めるのがますます大変になる。行政の支援が必要だ」と苦しい胸の内を語った。(米沢信義、池田拓哉)