聖林寺、8月1日から観音堂で国宝十一面観音拝観開始

米田千佐子
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 国宝の十一面観音菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)を安置する観音堂の改修工事が進む聖林寺(奈良県桜井市)で、8月1日から十一面観音の拝観が始まる。多くの文化人を魅了し、現在は奈良国立博物館に仮住まい中の十一面観音が今夏、リニューアルした観音堂に戻る。

 十一面観音は像高209・1センチで木心乾漆造り。奈良時代の8世紀につくられた。もとは大神神社(桜井市)の神宮寺・大御輪寺(だいごりんじ)の本尊だったが、明治時代の神仏分離令を受け、聖林寺に移された。

 肉付き、写実的な衣の曲線の表現などが特徴で、天平彫刻の名品と名高い。その美しさは米国の東洋美術研究家アーネスト・フェノロサや写真家土門拳ら、多くの文化人も魅了。1897(明治30)年に古社寺保存法が制定されると1899年に旧国宝に指定され、新制度下でも国宝に指定された。

 観音堂は1959年完成。当時珍しい鉄筋コンクリート造りの収蔵庫だった。現在の耐震基準に合わなくなり、老朽化も進んだことから、2021年5月から改修工事が始まった。

 改修後に免震機能を備えた観音堂では、十一面観音が拝観者から360度拝める配置で安置される。工事は5月末に終了予定で、落慶法要は7月末に営む予定という。

 聖林寺の倉本明佳(みょうか)住職は「1千年先にも残したい。三輪山(大神神社のご神体)を臨むこの地で見てほしい」と話した。(米田千佐子)