第12回「宮廷儀式の一瞬を描いた」壁画群像、服装や髪形を再現すると

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清水謙司、米田千佐子
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 1972年3月に発見された高松塚古墳壁画(奈良県明日香村)といえば? 多くの人が「飛鳥美人」などの人物群像を思い浮かべるだろう。その服装や髪形にいち早く注目し、追究した京都出身の考古学者がいる。

 「高松塚で家学(かがく)を考えるようになりました」。京都橘大名誉教授の猪熊兼勝さん(84)はそう振り返る。

 猪熊家は、公家や武家の儀式や典礼、衣服などを研究する「有職故実(ゆうそくこじつ)」を家学とする公家だ。父は法制史の京大教授で古代の服飾の著書もある。猪熊さんは考古学の道へ進み、奈良国立文化財研究所(現・奈良文化財研究所)へ。家が代々受け継いできた学問と、いったん距離を置いた。

 その家学と改めて向き合うきっかけが壁画の発見だった。橿原考古学研究所の調査を指揮した同所長の末永雅雄さん(故人)は、武家故実の大家で関西大時代の師。誘ってもらい、石室をいち早く観察した。「儀式の一瞬を描いたということは分かった」という。

 「世界における人類文化史の重要資料」。末永さんの判断で古墳や壁画の保存・調査は文化庁に引き継がれた。奈文研にいた猪熊さんも現場担当者として、発掘や保存施設建設に携わることになった。「宮廷儀式の様子が具現化されている。これはまさに有職故実ですよね」

 面目躍如とも言える仕事があ…

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