ウクライナの「いま」を日本の大学生に知ってほしい。至学館大の越智久美子准教授(45)は今月、ウクライナ出身の3世代4人の女性を授業に招いた。4人は「いま」を語らなかった。だが、若者たちの心をそれぞれに揺さぶった。
越智さんは今月上旬、戦火を逃れ、大学がある愛知県大府市の親族を頼ってきた女性たちがいることをニュースで知った。
「自分に何ができるのか」。ロシアによる侵攻が始まってから、自問を続けてきた。いてもたってもいられず、知り合いの大府市職員に電話をかけた。
「ウクライナの方に、母国の現状や今の思いを聞かせてもらえないでしょうか」
選挙のときに学内の期日前投票所の運営を越智さんのゼミ生が担うなど、かねて市側と接点があったことが幸いした。市職員を介し、市在住のイワニューク・リリヤさん(39)の意向を確認できた。リリヤさんのもとに、ウクライナから母と妹、妹の子2人の計4人が逃れてきた。越智さんは日本語ができるリリヤさんと、メールで授業内容の打ち合わせを始めた。
ところが、迷いが生じた。
白紙に戻した計画
母国が侵攻を受け、生活が激変。これからどうなるのか、不安ばかりのはず。そんなリリヤさんに大勢の学生の前で話をしてもらうのは、負担が大きいのでは――。
数日後、越智さんは計画を白…