本が嫌いな子にこそ読んでほしい ゾロリのいたずらに込めた思いは
誰かを困らせるいたずらが大好きなキツネの「ゾロリ」と、双子のイノシシ「イシシ」「ノシシ」が繰り広げる冒険の物語。児童書ではタブーだった「悪役」を主人公にした理由とは。作者の原ゆたかさんに、「ゾロリ」が生まれた日のことを聞きました。
35年で70冊 シリーズ刊行前から「ゾロリ」はいた
「かいけつゾロリ」は、今年で35周年を迎えます。最初は、「10冊くらい書けたらいいかな」と思っていたけれど、気付けば最新作で70冊目。夏休みと冬休みにあわせ、毎年2冊ずつの刊行ペースは、当初から変わりません。
「かいけつゾロリのドラゴンたいじ」(ポプラ社、1987年) 修業の旅に出たキツネのゾロリ。お姫さまと結婚するため、弟子になった双子のイシシ、ノシシとあの手この手の計画を企てますが……。シリーズ第1作。70作続いて累計は3700万部。最新作は昨年12月の「かいけつゾロリ きょうふのダンジョン」。
主人公のゾロリは、「かいけつゾロリ」シリーズ刊行前から存在していました。みづしま志穂先生がお話を書き、僕が絵を担当していた「ほうれんそうマン」シリーズ(ポプラ社)に出てきていた悪役が、ゾロリだったんです。シリーズがいったん終了してしまうことになり、「原さん、お話も書けない?」と出版社から声をかけられたのがきっかけです。
絵描き志望から作家へ転身
僕は、もともと作家ではなく絵描き志望でした。でも、決められた挿絵のスペースに絵をかくのではなく、お話を絵でさらにおもしろくできないか、ページ構成も考える上で文章にも踏み込んで作家さんと話し合い、本を作ってきました。
ところが、いざ自分で最初からお話を作ることになって、その大変さを思い知りました。
そこで、自分が好きだった映…