温泉街はアートだらけ「道後オンセナート2022」28日開幕

亀岡龍太
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 【愛媛】松山市道後温泉街がアートの舞台に――。芸術祭「道後オンセナート2022」が28日に開幕する。「いきるよろこび」をテーマに掲げ、県内外で活躍するアーティストらが展示やイベントなどで半径500メートル以内の街角に独創的な空間を出現させる。来年2月26日まで。

 オンセナートは「道後温泉で温まり、日々を楽しく感じてもらおう」とのコンセプトで、アートを通した街の活性化を目指し、官民でつくる実行委員会が主催。2014年に始まり、今回が4年ぶり3回目だ。

 新型コロナウイルス感染防止のため、今回は展示は屋外が中心になる。温泉街を散策しながら楽しめる企画にしたという。

 常設展示は「コレクション」と「マチコトバ」の2本立て。コレクションは2024年12月までの予定で保存修理工事が進む道後温泉本館などの主要観光スポットを中心に計10点を配置する。開幕日からの展示は「あいだのお湯」(エイドリアン・シュテッケヴェーさん)、「くるくるミラクル」(谷川俊太郎さん)など6点。道後温泉の由来にかかわるシラサギなどを描いた本館工事用テント(大竹伸朗さん)、極彩色の花の写真で彩った飛鳥(あすか)乃(の)湯泉(ゆ)中庭(蜷川実花さん)など、昨年からの展示作品も含まれる。

 マチコトバは初企画で、地元の俳人・夏井いつきさんやロックバンド「SUPER BEAVER」のメンバーたちが道後の街を1冊の詩集に見立てて、自身の作品などから選んだ言葉を路地裏や坂道、建物の壁面などで披露する。

 このほか、期間中は多彩なイベントも予定している。(亀岡龍太)

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 開幕を控え、道後温泉街のあちこちで、作品の制作が大詰めを迎えている。今回初めて参加する気鋭のアーティストたちに、作品への思いなどを聞いた。

 道後観光案内所前にある屋台作品「神縁ポータル」。企画したのはメディアアーティスト市原えつこさん(33)、設計や造形を担ったのは東京の建築集団「銭湯山車(だし)巡行部」のメンバー4人だ。

 お社を模した造形の正面から、道後のディープスポットを記した紙が「おみくじ」のように出てくる。屋台の部材には近年廃業した東京の銭湯から引き取った導水管などを使っている。

 銭湯山車巡行部によると、市民の交流拠点だった東京の銭湯はこの10年で激減した。貴重な建築物もあった銭湯の廃業に心を痛め、銭湯の部材で作った山車を引き回すなどして魅力を発信してきたという。

 「東京で消滅の危機にある、お湯の文化が色濃く残る道後を、我々も盛り上げたい」とメンバーの一人。市原さんは「お湯を通した東京と道後の関係性を作品に込めた」と話す。

湯→雲→雨→湯 見立てて

 道後温泉周辺のホテルなどにお湯を送る施設の一つ「第4分湯場」では、編み物を操る宮城県のアーティスト、力石(ちからいし)咲さん(40)が「道後温泉系」を制作していた。

 カラフルなひものかたまりをつるして雲に見立て、垂らすひもは雨を表現する。「雲」の数は道後温泉の今の泉源数である18にする予定だ。

 「道後の泉源から流れ出た湯が雨になって地面に降り、湯に戻る自然循環」を作品化した。ひもは、本館などで使い古されたタオルをほどいて作ったものだ。タオル1枚で約4・2メートルの1本のひもになる。現在はタオル計400枚を確保し、順次ひもにしている。

 道後の一帯で、壁面などに分湯用の管が目についたという力石さん。「変幻自在でほどいて何度でも使え、様々につながることができるひもで、癒やしの場になっている道後温泉を表現してみたい」と話した。

主な常設展示

◇神縁ポータル市原えつこ

 =道後観光案内所前でディープスポットを案内

◇くるくるミラクル谷川俊太郎

 =道後公園武家屋敷内の木製モニターに最新の詩が出現

◇道後温泉系力石咲

 =道後温泉の成り立ちをジオラマで再現

◇上人坂夏井いつき

 =上人坂一帯の5カ所で、季節ごとに自作の俳句を紹介

◇タイトル未定SUPER BEAVER

 =共感を呼ぶ歌詞を壁面などで発信